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【東海村】創業・起業のための地域データガイド|人口・産業・支援制度でわかるビジネス環境

佐藤

茨城県那珂郡東海村は、人口37,806人(令和7年国勢調査速報)を抱える、全国的にも珍しい人口3万人超の「村」です。日本原子力研究開発機構(JAEA)をはじめとする原子力・量子科学分野の研究拠点が集積し、1人当たり市町村民所得は県内3位、人口減少率も県内で低い水準にとどまっています。ただし、こうした数字を安易に「原子力研究者が住んでいるから」と結びつけるのは危険です。本記事では、公表データが示す事実と、まだ確認されていない仮説を切り分けながら、創業予定者向けに整理しました。

この記事でわかること

  • 東海村の人口規模・年齢構成・世帯構成から読み取れる客層
  • 人口減少率が県内で低水準にとどまっている事実と、その解釈で注意すべき点
  • 原子力・量子科学関連の研究拠点集積を創業の切り口として使う際の留意点
  • 産業構造と商業・製造業の市場規模(金額ベース)
  • 創業時に使える東海村独自の補助金・融資・相談窓口の具体的な金額と窓口

1. 東海村の基本プロフィール

項目 データ 基準時点
人口 37,806人(県内28位) 令和7年国勢調査 速報値(令和7年10月1日)
世帯数 16,333世帯 同上
人口増減(令和2年比) −85人(−0.2%、増加した4市町村を除く「人口が減った40市町村」の中で減少幅が最小) 同上
1世帯当たり人員 2.31人(茨城県平均2.29人) 同上
面積 38.01km² 令和8年1月1日現在
人口密度 985.6人/km² 令和8年4月1日現在(常住人口37,461人ベース)
年齢構成 年少13.0%/生産61.2%/高齢25.8% 令和7年10月1日現在
昼夜間人口比率 99.5(県内10位) 令和2年国勢調査
外国人住民 419人(1.12%) 令和8年3月1日現在
1人当たり市町村民所得 422万6千円(県内3位) 令和5年度

※人口密度985.6人/km²は令和8年4月1日現在の常住人口(37,461人)を基準にした値で、上表の国勢調査速報人口(37,806人、令和7年10月1日現在)とは統計の基準時点・系列が異なります。混同しないようご注意ください。


2. 人口データで読む東海村

2-1. 人口規模と推移 ― 「村」なのに3万人超

令和7年国勢調査速報で、東海村の人口は37,806人。令和2年から85人(−0.2%)の減少です。茨城県内44市町村のうち人口が増加したのは4市町村のみで、東海村はそれ以外の「人口が減少した40市町村」の中で減少幅が最小でした。これは全国の「村」の中での順位ではなく、あくまで茨城県内市町村を比較したときの位置づけです。

村内には後述のとおり原子力・量子科学関連の研究機関・企業が集積しており、これを人口動態の要因として語りたくなるところです。しかし、確認できた一次資料の中に「研究者・技術者の定住が人口減少率0.2%という結果を生んだ」と因果関係を実証した調査は見当たりませんでした。令和4年は社会増210人、男性20歳代後半が転入超過という傾向はありますが、これも研究機関雇用との因果を直接示すものではありません(東海村「産業振興ビジョン参考資料」)。

創業時の目線:人口減少率の低さは事実ですが、その理由を「原子力関連雇用が安定しているから」と単純化するのは早計です。市場の底堅さを見込む場合も、年代別・地区別の転入出データを個別に確認したうえで判断することをおすすめします。

2-2. 年齢構成 ― 誰が住んでいる街か

令和7年10月1日現在、年少人口(0〜14歳)13.0%、生産年齢人口(15〜64歳)61.2%、老年人口(65歳以上)25.8%です。高齢化率25.8%は、同じ調査基準の水戸市(27.9%)と比べるとやや低めで、生産年齢人口比率も水戸市(60.2%)を上回っています。

創業時の目線:生産年齢人口が6割を超えていることから、現役世代・研究職向けのサービス(時短飲食、宅配、保育・教育関連)は一定の下支えが期待できます。ただし年少人口13.0%という絶対数は市部より小さいため、子ども向け業態は商圏の広さを慎重に見積もる必要があります。

2-3. 世帯構成 ― 単価と客層を決める要素

16,333世帯、1世帯当たり人員は2.31人(茨城県平均2.29人)で、県平均とほぼ同水準です。水戸市(2.10人)のような単身世帯化の急速な進行は見られません。

創業時の目線:世帯構成が県平均に近いことから、家族世帯を主要客層とする業態設計も、市部ほど不利にはならないと考えられます。単身・ファミリーどちらかに偏らせすぎない商品構成が無難です。

2-4. 昼間人口と商圏 ― 「住んでいる人」だけが客ではない

令和2年国勢調査によると、東海村の昼間人口は37,688人、夜間人口37,891人で、昼夜間人口比率は99.5(県内10位)。100を下回っているため、村全体としては「昼間の流入が夜間人口を上回る」わけではありません

創業時の目線:昼夜間人口比率99.5という数字だけを見ると、村全体で大きな昼間流入があるとは言えません。原子力関連施設が集積する東部エリアと、住宅地中心のエリアとでは平日昼間の人の動きがかなり異なる可能性があるため、村全体の数字ではなく、出店予定エリア単位で通行量を実地確認することをおすすめします。

2-5. 外国人住民など特徴的な層

外国人住民は419人、総人口比1.12%(令和8年3月1日現在、東海村「Living in Tokai」)。突出して高い比率ではありません。

創業時の目線:外国人住民比率1.12%は特別高い水準ではありませんが、研究機関には海外からの研究者・技術者も一定数在籍していると考えられます。多言語対応の生活支援サービスなどを検討する場合は、実際の在籍者数・国籍構成を関係機関へのヒアリングで確認してから判断するのが安全です。


3. エリア別の特徴 ― どこで開業するかで別のビジネスになる

東海村は昭和30年3月31日に石神村と村松村が合併して発足し、それ以降は平成期の合併等を行わず現在に至ります(東海村「村の沿革」)。都市計画マスタープランでは、村内を次のような性格の異なるエリアとして描いています。

エリア 性格
①JR東海駅周辺 商業・業務機能を誘導する都市拠点。1日平均乗車人員4,498人(令和6年度平均、定期外1,249人・定期3,248人/乗降人員ではなく乗車人員)
②村役場・行政エリア 村役場、病院、文化施設が集まる行政・文化・福祉の拠点
③東部沿岸エリア JAEA、日本原子力発電、三菱原子燃料など原子力・量子科学関連の研究・産業施設が集積する地区(詳細は5章)
④国道245号・水戸外環状道路沿線 交通・物流の軸。常磐自動車道東海スマートIC(平成21年3月29日開通、ETC専用・24時間利用可)があり、村役場まで東海スマートICから約5分、常磐道那珂ICから約20分、日立南太田ICから約10分、北関東道ひたちなかICから約20分が目安(交通状況により変動)
⑤外縁部 住宅地と農地・集落が混在するエリア

なお、東海駅周辺の空き店舗率・歩行者/自動車通行量は公表データを確認できませんでした。「にぎわっている」「空洞化している」のいずれも本記事では断定しません。

観光面では村松山虚空蔵堂の初詣が大きな集客要素です。年間観光入込客数292,800人回(令和6年、前年比99.9%)のうち1月だけで202,400人回・年間の69.1%を占め、うち虚空蔵堂初詣(1月1〜5日)が200,000人回にのぼります(茨城県「令和6年観光客動態調査報告」)。通年型施設は東海村立原子力科学館26,946人、東海村歴史と未来の交流館43,520人(いずれも令和6年度。交流館は入館無料)。商業施設はフードスクエアカスミ東海中央店(令和4年12月開業、売場面積2,195m²、駐車230台)とヨークベニマル東海店(令和元年7月26日開業、駐車158台)が主要な大型店です。


4. 産業構造 ― この街のお金はどこから来るのか

4-1. 産業別の就業者構成

令和2年国勢調査ベースで、第1次産業2.63%、第2次産業24.52%、第3次産業72.85%。第2次産業比率は水戸市(18.65%)より高く、原子力関連施設を含む製造・エネルギー分野の存在が反映されていると見られますが、これも定住人口との因果を示すものではありません。

4-2. 事業所数・従業者数

経済センサスの町村別集計は本調査で安定して取得できなかったため、該当データなしとします。事業所数を前提とした営業計画を立てる際は、東海村商工会等への聞き取りをおすすめします。

4-3. 商業(卸売・小売)の市場規模

茨城県「市町村のデータ」による年間商品販売額は542億円(令和2年)。同時期の水戸市(1兆5,687億円)、大洗町(160億円)などと比べると、村としては相応の規模です。卸売・小売の内訳は公表資料の信頼性の問題から本記事では扱いません。

4-4. 製造業・工業団地

製造品出荷額等は371億円(令和5年、従業者4人以上の事業所)。工業系の立地としては、地区計画面積約18ha(平成30年12月21日決定)の百塚原地区のほか、平原工業団地・平原南部工業団地があります(各団地の現況面積・空き区画は未取得)。

創業時の目線:製造品出荷額371億円・第2次産業比率24.52%という数字は、東海村が単なる住宅・研究の村ではなく、一定の産業基盤を持つことを示しています。ただし工業団地の現在の空き状況は公表されていないため、立地を検討する場合は村の産業政策課へ直接確認するのが確実です。


5. 東海村を代表する企業・研究機関 ― 取引先候補として

登記上の本店が東海村にある企業

gBizINFOで本店所在地を東海村内と確認できた企業です(令和8年8月8日閲覧時点)。住所変更・合併の可能性があるため、実際の取引前には再照会をおすすめします。

企業名 法人番号 登記上の本店所在地
株式会社アセンド 8050001004814 東海村大字村松3115番地6
株式会社ナスカ 6050001004758 東海村大字村松3115番地6
株式会社扶桑 4050001005345 東海村舟石川駅西一丁目5番16号
株式会社ジェー・シー・オー 4010401022522 東海村大字石神外宿2600番地
株式会社コーワ 4050001004768 東海村大字舟石川632番地の9
株式会社ヒューマンサポートテクノロジー 4050001037264 東海村大字白方1752番地16 シャルム東海店舗B号室
株式会社三建工業 7050001004617 東海村大字石神内宿2265番地2
株式会社照沼 8050001004871 東海村大字照沼601番地

進出企業・研究機関(本社・本部は村外、村内に拠点)

拠点 所在地 敷地・職員数
JAEA原子力科学研究所 東海村大字白方2番地4 敷地約222ha、職員約940人
JAEA核燃料サイクル工学研究所 東海村大字村松4番地33 敷地約111ha、職員約620人
日本原子力発電株式会社 東海事業本部 東海村大字白方1番地1 敷地約86ha、職員約490人
三菱原子燃料株式会社 東海工場 東海村大字舟石川622番地1 敷地22.16ha、職員約450人
株式会社ジェー・シー・オー 東海事業所 東海村大字石神外宿2600番地 敷地約15.6ha、職員約35人
J-PARC(大強度陽子加速器施設) JAEA原子力科学研究所内 JAEAとKEKの共同施設。独立した職員数は未取得
QST東海量子ビーム応用研究センター JAEA原子力科学研究所内 職員数は未取得

(各拠点の職員数は令和8年3月25日更新の東海村公式ページ時点)

注意:QSTの核融合研究拠点「那珂フュージョン科学技術研究所」は那珂市向山に所在し、東海村の施設ではありません。東海村内にあるQST拠点は「東海量子ビーム応用研究センター」で、名称・所在地を混同しないよう注意が必要です。

JAEA原子力科学研究所・JAEA核燃料サイクル工学研究所・日本原子力発電東海事業本部・三菱原子燃料東海工場の主要4拠点だけで、村公式ページに掲載された職員数の単純合計は約2,500人にのぼります。これは東海村の産業構造を語るうえで欠かせない事実です。

ただし、この約2,500人は「施設の公表職員数」であり、東海村内の居住者数、単身赴任者の人数、正規・協力会社作業員の内訳を示すものではありません。村外から通勤する職員も相当数含まれると考えられ、村内の飲食・生活サービス需要に直結する数値としてそのまま扱うことはできません。

同様に、令和5年度の1人当たり市町村民所得422万6千円(県内3位)も、企業所得・財産所得等を含む地域経済計算上の指標であり、住民個人の給与や可処分所得ではありません。「所得が高いから飲食需要が旺盛」とは読み替えられません。一次資料を確認する限り、「研究者・技術者の定住が人口減少率0.2%を生んだ」「原子力関連雇用の安定性が1人当たり所得県内3位を生んだ」という因果関係を実証した調査は見当たりませんでした。

創業時の目線:原子力・量子科学関連の拠点集積と職員数約2,500人という事実は、事業仮説の出発点にはなります。しかし、それをそのまま「有望な顧客層がいる」と読み替えるのは早計です。出店を判断する前に、各施設の勤務形態(交替制か日勤中心か)、職員の居住地、昼食調達の方法、単身赴任比率などを、施設や協力会社への個別ヒアリングで追加取材することを強くおすすめします。


6. 創業支援制度とお金の話

6-1. 特定創業支援等事業 ― まず最初に取るべき証明

東海村は産業競争力強化法に基づく創業支援等事業計画の認定を受けています(平成28年1月13日認定、計画期間は平成28年4月1日〜令和11年3月31日)。実施機関は東海村、東海村商工会、株式会社ひたちなかテクノセンター、日本政策金融公庫日立支店の4者で、経営・財務・人材育成・販路開拓の4分野を原則1か月以上支援し、証明書取得で以下の優遇が受けられます。

優遇内容 具体的な効果
登録免許税の軽減 税率0.7%→0.35%(株式会社15万円→7.5万円、合同会社6万円→3万円/令和9年3月31日までの制度)
日本政策金融公庫 「新規開業・スタートアップ支援資金」の特別利率等の対象になり得る(審査は別途)

計画上の年間目標は創業支援対象者45件・創業者13件です(これは実績ではなく計画上の目標値)。

窓口:東海村産業政策課 企業支援室(東海村舟石川駅東三丁目1番1号 iVil 2階/029-212-5700)、東海村産業政策課(029-282-1711)、東海村商工会(東海村村松北一丁目2番34号/029-282-3238)、株式会社ひたちなかテクノセンター(029-264-2200)、日本政策金融公庫日立支店(0294-24-2451)。

6-2. 村独自の補助金

制度名 内容 令和8年度の状況
創業オフィス等賃料補助 賃料の1/2、1年目月5万円上限・2年目月3万円上限(最長2年) 申請受付中、予算に達し次第終了(令和8年4月1日更新)
開設支援 敷金・礼金等の1/2、1回10万円上限 同上
創業者向け融資利子補給 公庫の創業融資利用者に支払利子相当額を3年間補助(創業後5年以内、村税完納等) 令和8年度受付を明示する告知は確認できず。申請前に企業支援室へ要確認

賃料補助・開設支援を上限まで利用した場合の参考計算は5万円×12か月+3万円×12か月+10万円=106万円ですが、これは公式が示す一括上限額ではなく、本調査による試算です。主な要件は、特定創業支援等事業の証明取得者またはiVil創業オフィス・創業デスクを1か月以上利用した者で、村内で初めて借りる事務所・店舗・工場であること、週4日以上営業、住居兼用不可、おおむね5年以上継続予定であることです。

6-3. 融資・制度融資

制度 限度額・期間 金利・保証料
自治金融 運転資金1,000万円・設備資金1,000万円、最長10年 変動のため商工会へ照会
小口零細企業保証制度 300万円、最長7年 同上
商工貯蓄共済融資 500万円、最長4年 同上

対象の基本要件は、個人は村内居住・事業、法人は村内事業所・事業実績が原則1年以上、村税完納、信用保証協会対象業種等で、申込締切は原則毎月10日です。信用保証料は対象制度で全額補助されますが、制度ごとに適否がわかりにくい箇所があるため申込時に商工会での確認が必要です。利子補給は第1〜36回返済分について、借入利率のうち1%を超える部分を年1%相当まで補助します(例:借入利率1.35%なら村0.35%負担、事業者負担1.00%)。

6-4. 相談窓口・コワーキング

窓口:東海村商工会(村松北一丁目2番34号/029-282-3238)、東海村産業政策課 企業支援室(iVil 2階/029-212-5700)。

コワーキング/シェアオフィス(iVil)

区分 料金・条件
1階コワーキングスペース 無料。カウンター10席、2人用テーブル3卓、4〜5人用ソファ2台。9時〜21時、火曜休館
創業オフィス201 12m²、月36,000円
創業オフィス202・203 各10m²、各月28,800円
創業デスクD1〜D3 各約8m²、各月10,800円
創業デスクD4〜D6 各約5m²、各月7,200円

オフィスは原則最長3年+延長1年、デスクは原則最長2年+延長1年利用可能で、24時間365日利用可、インターネット・光熱水費・共益費込み、法人登記住所としても利用できます(令和8年8月8日現在の空室数は未取得)。所在地は東海村舟石川駅東三丁目1番1号、施設電話029-306-1155。

iVilシェアキッチン(令和8年4月開設):菓子用Kitchen01(昼9〜15時 月20,000円/半日6,000円/時間2,000円、夜17〜21時 月13,000円/半日4,000円/時間2,000円)、飲食・総菜用Kitchen02(昼夜とも各月20,000円/半日6,000円/時間2,000円)、キッチンカー区画(月10,000円/半日3,000円/時間1,000円、いずれも追加負担1利用200円)。客席は室内40席、テラス16席です。


7. 開業手続きの窓口(保健所・許認可・税務)

  • 飲食店営業許可など:管轄は茨城県ひたちなか保健所です(常陸大宮支所ではありません)。所在地はひたちなか市新光町95番地、衛生課029-265-5645。施設の工事着手前に図面等を持参して相談するのが安全です。
  • 法人村民税:法人税割は資本金等1千万円未満が6.0%、1千万円以上が8.4%(令和元年10月1日以後開始事業年度、ちょうど1千万円は8.4%区分)。均等割は資本金等1,000万円以下・村内従業者50人以下で年60,000円
  • 事業所税:令和8年3月31日現在の課税団体一覧(東京都主税局公表、全国77団体)に東海村の記載はなく、事業所税の課税団体ではないと考えられます。将来の指定変更もあり得るため、事業開始時には念のため再確認してください。
  • 移住支援:とうかい住まいる応援補助金(1世帯20万円上限、婚姻・パートナーシップ届出から4年以内、少なくとも一方が令和4年4月1日以降に転入、双方39歳以下等が要件、申請期間令和8年4月1日〜令和9年3月31日、予算到達で終了)。東京圏からの移住支援金は事業終了しており、令和8年度の募集はありません。
  • 企業立地優遇:産業活性化促進奨励金(投下固定資産額3,000万円以上等の企業立地奨励金、固定資産税相当額を最長3年交付/新規雇用3人以上等の雇用促進奨励金、1人年10万円・年100万円上限・最長3年)、原子力発電施設等周辺地域企業立地支援事業(F補助金、新規雇用3人以上等の要件で電気料金実績の最大1/2相当を補助、申請時期は原則4月・10月)。

8. 東海村で創業するときのチャンスとリスク

チャンス

  1. 人口3万人超を維持する「村」であり、県内で人口が減少した40市町村の中では減少幅が最小(令和2年比−0.2%)。ただし要因を原子力雇用に単純化しないこと。
  2. 1人当たり市町村民所得422万6千円(県内3位)。ただし個人の可処分所得ではないため、そのまま客単価の根拠にはできません。
  3. 創業オフィス等賃料補助・融資利子補給など、村独自の創業支援制度が整っている
  4. iVilの無料コワーキング・低価格の創業オフィス・シェアキッチンなど、低コストで始められる環境がある。

リスク

  1. 昼夜間人口比率99.5(100未満)。村全体としては昼間の流入が夜間人口を上回るわけではありません。
  2. 中心市街地の空き店舗率・通行量は公表データが確認できず、「にぎわっている」という前提で計画を立てるのは危険です。
  3. 経済センサスの事業所数・従業者数、工業団地の現況空き区画数など、町村部特有のデータ空白があります。
  4. 原子力関連拠点の職員約2,500人・高い所得水準は魅力的に見えますが、居住地・外食行動などの需要実態は未調査であり、そのまま需要として見込むのは早計です。

創業時の目線:東海村は「人口規模の割に所得水準が高く、研究機関が集積する村」という際立った個性を持つ自治体です。ただし本記事で繰り返し述べたとおり、その個性を人口減少率の低さや所得水準の高さと安易に因果づけることはできません。創業を検討する際は、村の創業支援制度を入り口としつつ、施設勤務者の居住地・外食行動・単身赴任比率などを自分の足で追加取材することが、東海村での成功確率を左右します。


データ出典

免責:補助金・融資制度は年度ごとに内容や募集状況が変わります。申請前に必ず各窓口(東海村産業政策課 企業支援室 029-212-5700 ほか)で最新情報をご確認ください。本記事の数値は2026年8月8日時点で公表されていたデータに基づいています。

ABOUT ME
佐藤
佐藤
税理士・公認会計士
東京都立大学(旧・首都大学東京)を卒業後、KPMGあずさ監査法人に入所。銀行・証券会社をはじめとする日系金融機関を中心に、監査業務に従事してまいりました。その後、茨城県つくば市にて税理士事務所を開設し、現在に至ります。
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