SECTION 02
2. 人口データで読むかすみがうら市
人口減少の主因は自然減。社会増減は年によって振れています。
2-1. 人口規模と推移
令和7年国勢調査の速報値で、かすみがうら市の人口は38,413人、令和2年から1,674人(−4.2%)の減少です。
市の統計書によると、令和6年の自然増減は−457人(出生185人・死亡642人)、社会増減は−19人。社会増減は令和4年+298人、令和5年+170人と増加が続いたあと、令和6年に−19人へ転じています。つまり、直近では自然減の規模が社会減より圧倒的に大きく、人口減少の主因は自然減です。
創業時の目線
令和4〜5年の社会増は、土浦市・つくば市への通勤のしやすさ(後述の昼夜間人口比率・通勤者数)と時期が重なっており、ベッドタウンとしての受け皿機能が人口の下支えになっている可能性はあります。ただし令和6年は社会減に転じ、自然減の方が規模が大きいため、「ベッドタウン化が人口減少を止めている」と断定するのは早計です。人口動態は横ばいの安定ではなく、なお不確実性を含むと見て計画を立てるべきです。
2-2. 年齢構成 ― 誰が住んでいる街か
9.1%年少人口(0〜14歳)
57.3%生産年齢人口(15〜64歳)
33.6%老年人口(65歳以上)
令和7年10月1日時点の推計で、年少人口(0〜14歳)9.1%、生産年齢人口(15〜64歳)57.3%、老年人口(65歳以上)33.6%。高齢化率33.6%は水戸市(27.9%)を上回る水準で、生産年齢人口の比率も6割を切っています。
創業時の目線
高齢化率が3割を超えている点は、訪問系・生活支援サービスなど高齢者向け業態には追い風です。一方で現役世代向けの業態は、後述する市外への通勤流出も踏まえ、平日日中よりも早朝・夜間・休日の需要を意識した営業時間設計が有効です。
2-3. 世帯構成 ― 単価と客層を決める要素
1世帯当たり人員は2.41人で、茨城県平均(2.29人)より多い水準です。世帯数15,940に対し人口38,413人という構成は、単身世帯化が進む水戸市などとは対照的に、複数人世帯(ファミリー・二世帯同居など)が県平均より残っていることを示唆します。
創業時の目線
ファミリー向けの容量・単価設計や、子育て・住宅関連サービスが県平均より刺さりやすい可能性があります。ただし高齢化率33.6%も同時に高いため、「ファミリー」と「高齢世帯」の両方が混在する市場として、ターゲットを一本化しすぎないことが重要です。
2-4. 昼間人口と商圏 ― 「住んでいる人」だけが客ではない
34,360人昼間人口(令和2年)
40,087人夜間人口(令和2年)
5,970人土浦市への通勤者
1,416人つくば市への通勤者
令和2年国勢調査では、かすみがうら市の昼間人口は34,360人、夜間人口40,087人で、昼夜間人口比率は85.7(茨城県内44市町村中39位)。夜間人口より昼間人口が5,700人以上少なく、県内でも下位に位置する「通勤流出型」の自治体です。
市外への通勤者は県内10,901人・県外641人。うち土浦市5,970人、つくば市1,416人の2市だけで7,386人に達し、石岡市1,134人も加えると主要3市で8,520人になります。市内には鉄道駅がなく、最寄りの神立駅(土浦市側)の1日平均乗車人員は5,268人(うち定期4,010人、定期外1,258人。令和6年度、JR東日本公表値。乗降人員ではない点に注意)です。
創業時の目線
昼夜間人口比率85.7という数字は、平日日中に市内で完結する需要が県内平均より小さいことを意味します。日中営業のビジネス(士業・小売の一部)は土浦市・つくば市との顧客の奪い合いになりやすい一方、朝夕の通勤時間帯や休日に強い業態(弁当・惣菜のテイクアウト、駅前送迎付きサービスなど)は、この通勤流動をむしろ味方にできます。
2-5. 外国人住民
外国人住民は1,959人。国籍別ではベトナム409人、ブラジル348人、インドネシア289人、フィリピン167人、タイ160人など分散しています(令和7年6月30日現在)。
創業時の目線
外国人住民が約2,000人規模で、ベトナム・ブラジル・インドネシアなど国籍が分散している点は、多国籍対応の食材店や生活支援サービス、外国人材向けの住宅・行政手続き支援サービスに一定の需要余地があることを示しています。
SECTION 04
4. 産業構造
― この街のお金はどこから来るのか
第1次産業が2桁。県南では珍しく、農業の存在感が大きい市です。
4-1. 産業別の就業者構成
令和2年国勢調査ベース
令和2年国勢調査ベースで、第1次産業10.55%、第2次産業30.91%、第3次産業58.55%。第1次産業比率が10%を超えている点は、周辺の通勤圏自治体と比べても農業の存在感が大きいことを示しています。
創業時の目線
第3次産業が過半を占めつつも、第1次産業比率が2桁というのは県南地域では珍しく、農業関連の資材・加工・物流サービスに一定の商圏があることを意味します。純粋な都市型サービス業だけで市場を見積もると、この街の実態を見誤ります。
4-2. 商業(卸売・小売)の市場規模
年間商品販売額(令和2年、茨城県「市町村のデータ」)
かすみがうら市の年間商品販売額は663億円(令和2年、茨城県「市町村のデータ」)です。通勤先である土浦市(5,087億円)やつくば市(5,907億円)と比べると1桁小さく、市内で完結する商業規模は限定的であることがわかります。
創業時の目線
市内の年間商品販売額は近隣中心市の10分の1程度にとどまります。買い回り品・専門品を扱う業態は、土浦市・つくば市との競合を前提に、市内では最寄り品・日常サービスに絞り込む方が現実的です。
4-3. 製造業・農業など地域の基幹産業
2,623億円製造品出荷額等(令和5年)
12.3億円日本なし産出額・県内3位(令和5年)
5.7億円かんしょ産出額・県内8位(令和5年)
製造品出荷額等は2,623億円(令和5年、経済構造実態調査)。市内の工業団地は土浦・千代田、逆西、西山、向原、天神、加茂の6団地があり、市の地域未来投資促進計画によると、5団地に約45社、加茂工業団地に約20社が立地しています。
農業では、日本なし産出額が12.3億円で茨城県内市町村3位(令和5年、筑西市15.9億円・下妻市12.8億円に次ぐ)、かんしょ産出額は5.7億円で県内8位です。れんこんについては、茨城県が生産量全国1位であり、かすみがうら市は県が挙げる主要産地の一つです。
創業時の目線
製造業は6つの工業団地に一定数の企業が集積しており、部品・資材の卸や設備メンテナンスなどBtoBサービスの受け皿があります。農業では日本なし・れんこんが強みで、直売所向け加工品や観光農園と連携した業態は、霞ヶ浦地区の観光資源(水族館・果樹観光)とも組み合わせやすい分野です。
SECTION 06
6. 創業支援制度とお金の話
市独自の補助金は予算到達で年度途中に締め切られます。相談は年度の早い時期に。
6-1. 特定創業支援等事業 ― まず最初に取るべき証明
かすみがうら市は産業競争力強化法に基づく創業支援等事業計画の認定を受けています(平成28年1月認定)。連携機関は市、かすみがうら市商工会、日本政策金融公庫土浦支店、茨城県信用保証協会で、ワンストップ相談・創業セミナー・個別相談・フォローアップを行います(計画上の目標は年間支援40件、創業11件)。証明を取得すると、次の優遇が受けられます。
| 優遇内容 | 具体的な効果 |
| 登録免許税の軽減 | 税率0.7%→0.35%(株式会社15万円→7.5万円、合同会社6万円→3万円) |
| 創業関連保証の特例 | 無担保・第三者保証人不要の保証を、事業開始6か月前から利用可 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 創業枠の要件を満たせば補助上限200万円 |
| 日本政策金融公庫 | 新規開業・スタートアップ支援資金の特別利率等 |
窓口:かすみがうら市 産業経済部 商工観光課(霞ヶ浦庁舎、大和田562)0299-59-2111/029-897-1111
6-2. かすみがうら市独自の補助金
| 制度名 | 上限額 | 補助率 | 令和8年度の状況 |
| スタートアップ創業支援等事業補助金 | 25万円(空き家+新エネ設備加算で最大15万円追加) | 対象経費の2/3(加算部分は10/10) | 予算の範囲内・要事前相談 |
| ビジネスプラン構築支援事業補助金 | 20万円 | 3/4 | 令和8年6月4日付で予算額到達のため受付終了 |
スタートアップ創業支援等事業補助金は、特定創業支援等事業(6-1)の証明取得が前提条件です。個人は事業完了までに市内住所、法人は市内本店登記が要件になります。
創業時の目線
ビジネスプラン構築支援事業補助金がすでに令和8年度受付を終えている点は重要です。市独自の補助金は予算到達で年度途中に締め切られることがあるため、かすみがうら市で創業を検討するなら年度の早い時期に商工観光課へ相談するのが安全です。
6-3. 融資・制度融資
| 制度 | 限度額 | 条件 |
| 茨城県 創業支援融資 | 3,500万円 | 年1.5〜1.8%/保証料年0.9%(経営者保証不要の場合1.1%)→2027年3月31日まで0.3%引下げ、さらに引下げ後の5割(上限0.3%)を県が補助/設備10年・運転7年以内 |
| かすみがうら市 自治金融制度 | 運転1,000万円・設備1,000万円(併用時も合計1,000万円) | 返済期間最長7年。金利は茨城県信用保証協会の最新利率による。申請・相談はかすみがうら市商工会 |
6-4. 相談窓口・作業スペース
| 窓口 | 所在地 | 連絡先 |
| かすみがうら市商工会 本所 | 上土田433-2 | 0299-59-3755 |
| かすみがうら市商工会 霞ヶ浦支所 | 深谷2964-7 | 029-897-0055 |
| 茨城県よろず支援拠点 | 桜川2-2-35 茨城県産業会館(水戸市) | 029-224-5339(無料・平日9〜17時) |
| 茨城県信用保証協会 | — | 029-224-7865 |
かすみがうら市交流センター「畔の駅コハン」(坂4784)には貸しキッチンがあり、市内利用者240円/時間・市外利用者360円/時間で利用できます。
創業時の目線
相談の起点は商工会(本所・霞ヶ浦支所)と市商工観光課になります。飲食関連の試作・小規模製造を考えるなら、交流センターの貸しキッチンも選択肢に入ります。