【鹿嶋市】創業・起業のための地域データガイド|人口・産業・支援制度でわかるビジネス環境
鹿島神宮の門前町であり、鹿島アントラーズの本拠地であり、鉄鋼の街でもある鹿嶋市。1995年に鹿島町が大野村を編入して市制施行した際、市名に「鹿島」ではなく「鹿嶋」の字を選んだのは、佐賀県鹿島市との重複を避けるためでした。人口6.4万人ながら昼夜間人口比率は105.4と周辺から人が流入する街である一方、令和5年度の1人当たり市町村民所得は前年度から急落しており、鉄鋼市況への依存というリスクも抱えています。これらのデータを、創業予定者の視点で整理しました。
この記事でわかること
- 鹿嶋市の人口構造と、昼夜間人口比率105.4が示す「流入超過型」の市場規模
- 年間商品販売額1,207億円という商業規模を近隣市町と比較した位置づけ
- 製造品出荷額等9,821億円の9割を鉄鋼業が占める産業構造と、そこに潜むリスク
- 鹿島アントラーズ・メルカリスタジアム・鹿島神宮という、他の43市町村にはない集客資産の使い方
- 創業時に使える補助金・融資・相談窓口の具体的な金額と窓口
1. 鹿嶋市の基本プロフィール
| 項目 | データ | 基準時点 |
|---|---|---|
| 人口 | 63,997人(県内15位) | 令和7年国勢調査 速報値 |
| 世帯数 | 28,188世帯 | 同上 |
| 人口増減(令和2年比) | −2,953人(−4.4%) | 同上 |
| 1世帯当たり人員 | 2.27人 | 同上 |
| 面積 | 106.04km² | 令和8年1月1日 |
| 人口密度 | 597.8人/km² | 令和8年4月1日 |
| 高齢化率(65歳以上) | 33.4% | 令和7年10月1日推計 |
| 昼夜間人口比率 | 105.4(県内6位の高さ) | 令和2年国勢調査 |
| 1人当たり市町村民所得 | 3,627千円(県内18位) | 令和5年度 |
鹿嶋市は1995年(平成7年)9月1日、鹿島郡鹿島町が同郡大野村を編入する形で誕生しました。旧鹿島町は鹿島神宮・鹿島アントラーズの知名度を踏まえて「鹿島市」を希望しましたが、佐賀県に昭和29年から鹿島市が存在していたため、異体字の「嶋」を用いて「鹿嶋市」としました。そのため市内には「鹿嶋市立鹿島小学校」のように両方の字が今も混在しています。市名は「鹿嶋」、神社は「鹿島神宮」、港は「鹿島港」、球団は「鹿島アントラーズ」――この表記の使い分けは、行政文書やホームページを作る際にも押さえておくべきポイントです。
2. 人口データで読む鹿嶋市
2-1. 人口規模と推移
令和7年国勢調査人口速報集計(2026年5月29日公表)で、鹿嶋市の人口は63,997人、世帯数28,188、令和2年比で−2,953人(−4.4%)の減少です。茨城県全体の減少率−2.6%と比べると、鹿嶋市の減少はやや大きめです。
人口動態を見ると、令和6年の出生数は315人、死亡数は908人で、自然増減は約−593人。自然減が続いていることがわかります。社会増減(転入・転出)の直近データは公表資料からは確認できませんでしたが、令和2年時点では転入2,480人・転出2,415人で社会増+65人という記録があり、当時は自然減を社会増でわずかに補う構造でした。
創業時の目線:人口減少率−4.4%は県平均より大きく、居住人口だけを前提にした商圏設計はリスクがあります。次の「昼間人口」のデータと合わせて、実際の市場規模を見積もる必要があります。
2-2. 年齢構成 ― 誰が住んでいる街か
令和7年10月1日現在の推計で、年少人口(15歳未満)11.0%、生産年齢人口(15〜64歳)55.6%、老年人口(65歳以上=高齢化率)33.4%。年少人口の少なさと高齢化率の高さが同時に進んでいるのが特徴です。
創業時の目線:高齢化率33.4%は、介護・訪問診療・生活支援サービスなど高齢者向け業態の需要が着実にある水準です。一方で年少人口11.0%は、子育て世代向けビジネスの絶対数が限られることも意味します。ターゲット層を絞る際は、年齢構成のどちらの層を狙うかを最初に決める必要があります。
2-3. 世帯構成 ― 単価と客層を決める要素
1世帯当たり人員は2.27人(令和7年国勢調査速報値)。極端に単身世帯化が進んでいるわけではなく、一定の家族世帯が残っている水準です。
創業時の目線:ファミリー向け・少人数向けのどちらかに極端に振り切る必要はなく、業種ごとに標準的な世帯像を前提に商品設計してよい街だといえます。
2-4. 昼間人口と商圏 ― 「住んでいる人」だけが客ではない
令和2年国勢調査によると、鹿嶋市の昼間人口は70,557人、夜間人口は66,950人で、昼夜間人口比率は105.4。これは県内市町村別で6番目に高い水準です。つまり、居住人口が6万人台の街でありながら、日中は周辺の神栖市・潮来市・行方市などから約3,600人が働きに流入しています。鹿島臨海工業地帯の鉄鋼関連企業への通勤者が中心とみられます。
一方で鉄道アクセスは限定的です。JR東日本鹿島線・鹿島臨海鉄道大洗鹿島線が乗り入れる鹿島神宮駅の1日平均乗車人員は810人(2023年度)にとどまり、隣接する鹿島サッカースタジアム駅は試合開催日のみの営業(1日平均乗車人員286人・2022年度、試合開催日を含む平均)です。東京方面への実質的な足は、東京駅と鹿嶋市・神栖市・潮来市を結ぶ高速バス「かしま号」(JRバス関東・JRバステック・関東鉄道・京成バスの共同運行、所要約2時間)が担っています。
創業時の目線:昼夜間人口比率105.4は「住民数以上の昼間市場がある」ことを示しており、平日のランチ需要や通勤者向けサービスには追い風です。ただし鉄道の乗降客数は少なく、「駅前に出せば人が来る」という商圏設計は成立しません。車移動・バス移動を前提にした立地選びが基本になります。
2-5. 外国人・学生など特徴的な層
外国人住民数は963人(令和7年6月末現在、総人口比 約1.5%)。国籍別ではベトナムが231人と最も多く、次いでインドネシア209人、タイ124人、中国101人、パキスタン51人、フィリピン39人、韓国19人、スリランカ16人などとなっています。鹿島臨海工業地帯の製造業を中心に、技能実習・特定技能等での就労者が一定数いるとみられる構成です。
創業時の目線:ベトナム・インドネシア・タイ籍が上位を占める構成は、飲食・食材店・生活支援サービスの需要を考えるうえで参考になります。ただし比率自体は1.5%程度であり、単独の民族特化業態がすぐに成立する規模とは言い切れません。
3. エリア別の特徴 ― どこで開業するかで別のビジネスになる
① 鹿島神宮周辺(宮中)
関東屈指の古社・鹿島神宮の門前エリア。初詣参拝者数は50万人(令和6年〈2024年〉1月1日〜3日、前年比100.0%)にのぼり、鹿嶋市の年間観光入込客数2,120,600人(令和6年)の中核を担うエリアです。鹿嶋市商工会(宮中2-1-34)もこのエリアにあります。参拝客・観光客を対象にした飲食・土産・宿泊業態と相性が良い立地です。
② メルカリスタジアム(県立カシマサッカースタジアム)周辺
茨城県立カシマサッカースタジアムは、2025年から命名権により「メルカリスタジアム」の呼称で運用されています。収容人数40,728人。鹿島アントラーズは2026年もJ1(明治安田J1百年構想リーグ)に所属しており、2025年シーズンの平均入場者数は27,401人(前年2024年の23,027人から約19%増)でした。ホームゲーム開催日には、収容人数の規模に近い人数が短時間でこのエリアに集中します。飲食・物販・駐車場・宿泊にとって、年間を通じて発生する明確な需要ピークです。
③ 平井・大船津周辺(市役所・商業集積エリア)
鹿嶋市役所(大字平井1187-1)が所在し、イオン鹿嶋店(ショッピングセンター「チェリオ」)などの商業施設が立地する生活拠点エリアです。日常利用型の業態に向いています。
④ 高松地区・北海浜地区(鹿島臨海工業地帯)
鹿島港の北側に位置する鹿嶋市側の工業エリアで、日本製鉄グループを中核に鉄鋼関連企業が集積しています。BtoBの資材・設備・運輸系ビジネスの需要が見込めるエリアですが、住居系・一般消費者向け業態の立地には不向きです。
4. 産業構造 ― この街のお金はどこから来るのか
4-1. 産業別の就業者構成
令和2年国勢調査ベースで、第1次産業3.17%、第2次産業32.82%、第3次産業64.01%。県平均と比べて第2次産業(製造業中心)の比率が高いのが特徴で、鉄鋼を中心とする鹿島臨海工業地帯の存在が数字に表れています。
創業時の目線:第2次産業比率の高さは、製造業従事者向けの飲食・生活サービス・BtoB資材ビジネスの土台があることを意味します。一方で第3次産業も64%を占めており、サービス業単体で市場が成立しない街ではありません。
4-2. 事業所数と従業者数
鹿嶋市の産業別事業所数・従業者数(経済センサス‐活動調査ベース)は、今回の一次調査では確認できませんでした。商工観光課(0299-82-2911)や茨城県の経済センサス公表資料で個別に確認することをおすすめします。
4-3. 商業(卸売・小売)の市場規模
年間商品販売額は1,207億円(令和2年、茨城県公式データ)。同じ令和2年・県公式ベースで近隣市町と比較すると、次のようになります。
| 市町村 | 年間商品販売額(令和2年) |
|---|---|
| 水戸市 | 1兆5,687億円 |
| つくば市 | 5,907億円 |
| 土浦市 | 5,087億円 |
| 日立市 | 3,176億円 |
| ひたちなか市 | 3,072億円 |
| 神栖市 | 2,446億円 |
| 石岡市 | 1,569億円 |
| 取手市 | 1,302億円 |
| 鹿嶋市 | 1,207億円 |
| 龍ケ崎市 | 1,087億円 |
| 牛久市 | 1,058億円 |
| 守谷市 | 1,028億円 |
| 笠間市 | 1,012億円 |
| 大洗町 | 160億円 |
同じ鹿行地域の神栖市(2,446億円)の約半分の規模ですが、県内の中規模市町の中では中位に位置しています。
創業時の目線:商業規模だけを見ると突出した街ではありませんが、後述する観光入込客数211万人・ホームゲーム時の集客・工業地帯の従業者需要という「居住人口以外の需要」が上乗せされる点が、この数字だけでは見えない鹿嶋市の強みです。
4-4. 製造業 ― 鉄鋼への一本足構造と所得の急落
鹿嶋市の製造品出荷額等は9,821億円(令和5年、茨城県公式データ)。うち鉄鋼業が全体の90.8%を占めています(2024年経済構造実態調査ベース)。鹿島臨海工業地帯に立地する日本製鉄グループの存在感が、産業構造の数字にそのまま表れた形です。
この一本足構造は、市の所得統計にも直接影響しています。1人当たり市町村民所得は、令和4年度の382万8千円(県内7位)から令和5年度は362万7千円(県内18位)へと低下し、名目経済成長率は−25.7%と県内44市町村の中で最大の落ち込みを記録しました。これは鉄鋼市況の悪化が、そのまま市全体の所得水準を押し下げた結果と考えられます。かつて鹿島臨海工業地帯を背景に県内でも所得水準が高い部類だった鹿嶋市が、鉄鋼市況ひとつで大きく順位を落とすという事実は、この街の経済構造を理解するうえで欠かせないデータです。
なお、農業産出額の市町村別データは今回確認できませんでした。参考までに、市域の22.7%は農地です(茨城県「市町村のデータ」による)。
創業時の目線:製造品出荷額の9割が鉄鋼業という構造は、市全体の景気が特定業界の市況に強く連動することを意味します。BtoB取引先として工業地帯の企業を想定する場合、鉄鋼市況のサイクルを前提にキャッシュフローを設計する必要があります。逆に、鉄鋼以外の分野(観光・スポーツ関連・生活サービス)は、この一本足構造から相対的に独立した需要として評価できます。
5. 鹿嶋市を代表する企業 ― 取引先候補として
鹿嶋市に登記上の本店を置く企業として、法人番号公表サイト(gBizINFO)で所在地を確認できたのは以下の企業です。
| 企業名 | 業種 | 本店所在地 |
|---|---|---|
| 株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シー | プロサッカークラブ運営 | 鹿嶋市大字粟生字東山2887番地 |
このほか、鹿嶋市に本社を置く企業としては、建設・設備工事・建材関連の中小企業が目立ちます(求人媒体の掲載情報ベースで、登記簿までの一致確認は取れていません)。個社名の列挙は避けますが、鉄鋼関連企業の設備投資・工事需要を受けた地場の建設・設備業が一定数存在すると考えてよい構造です。
重要な注意:鹿島臨海工業地帯の中核である日本製鉄株式会社 東日本製鉄所鹿島地区は、あくまで「進出企業」の生産拠点です。日本製鉄株式会社の登記上の本店は東京都千代田区にあり、鹿嶋市に本社があるわけではありません。取引先・与信管理の資料を作る際は、この違いを混同しないよう注意してください。
創業時の目線:登記ベースで確認できる鹿嶋市発の全国区企業は、現状では株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シーが際立った存在です。BtoBの営業先としては、日本製鉄グループをはじめとする「進出企業」の協力会社・下請け企業network(建設・設備・資材・運輸)を地道に開拓していく形が現実的です。
6. 創業支援制度とお金の話
6-1. 特定創業支援等事業(まず最初に取るべき証明)
鹿嶋市は産業競争力強化法に基づく創業支援等事業計画の認定を受けており(平成28年1月認定)、鹿嶋市商工会が実施する「創業スクール・Web版かしま起業セミナー」等を受講して証明を取得すると、次の優遇措置が受けられます。
| 優遇内容 | 具体的な効果 |
|---|---|
| 登録免許税の軽減 | 株式会社・合同会社設立時の税率が0.7%→0.35%に軽減 |
| 創業関連保証の特例 | 無担保・第三者保証人不要の保証を、事業開始6か月前から利用可能 |
| 日本政策金融公庫 | 新規開業資金等の貸付利率引き下げ |
実施機関:鹿嶋市商工会、鹿嶋市役所、茨城県 窓口:鹿嶋市 商工観光課 商工労政グループ 0299-82-2911(〒314-8655 鹿嶋市大字平井1187番地1)
6-2. 鹿嶋市独自の補助金(令和8年度)
| 制度名 | 上限額 | 補助率 | 令和8年度の状況 |
|---|---|---|---|
| チャレンジショップ支援事業補助金 | 店舗改修・建築費300万円+経営支援費200万円 | 改修・建築費1/2、経営支援費10/10(全額補助) | 募集期限2026年8月31日(予算残があれば随時受付継続) |
| 地域ブランド商品開発等補助金 | 拡大生産型150万円/新規開発型はクラウドファンディング調達額の1/2または50万円のいずれか低い方 | 拡大生産型1/2、新規開発型3/4 | 申請期限2026年8月20日(募集件数:拡大生産型2件・新規開発型4件) |
チャレンジショップ支援事業補助金は、対象区域内で新規に小売業・飲食業・宿泊業・サービス業等を始める事業者向けで、年度内開業・1年以上の継続営業・週3日以上(11〜19時に2時間以上)の営業などが要件です。経営支援費の補助率10/10(全額補助)は、他市町村ではあまり例のない手厚さで、専門家指導や販促費などに使える枠として狙う価値があります。
このほか、令和8年度は中小事業者省エネ設備導入支援給付金・貨物自動車運送事業者支援給付金も実施されていますが、いずれも創業直後というより既存事業者向けの給付金です。
創業時の目線:店舗を持つ業態で開業するなら、チャレンジショップ支援事業補助金は最優先で検討すべき制度です。改修費の半額に加えて経営支援費が全額補助される設計は、初期投資と専門家伴走の両方を同時にカバーできる、鹿嶋市の目玉といえる補助金です。募集期限(2026年8月31日)を過ぎても予算残があれば随時受付が続くため、まずは商工観光課に相談することをおすすめします。
6-3. 融資・制度融資
鹿嶋市中小企業事業資金融資には、次の2種類があります。
| 制度 | 設備資金の限度額 | 運転資金の限度額 | 償還期間 |
|---|---|---|---|
| 振興金融 | 2,000万円 | 1,000万円 | 設備10年(据置1年)・運転10年 |
| 自治金融 | 1,000万円 | 1,000万円 | 設備10年・運転10年 |
金利・保証料補助・利子補給の詳細は公開資料からは確認できませんでした。取扱金融機関または鹿嶋市商工会(0299-82-1919)に直接お問い合わせください。
6-4. 相談窓口・コワーキング
| 窓口 | 所在地 | 連絡先 |
|---|---|---|
| 鹿嶋市商工会 | 鹿嶋市宮中2丁目1-34 | 0299-82-1919 |
| 鹿嶋市 商工観光課 商工労政グループ | 鹿嶋市大字平井1187番地1 | 0299-82-2911 |
コワーキングスペース
- いいオフィス鹿嶋 by みちくさ(鹿嶋市宮中1丁目11-5/運営:合同会社えにしか/0299-77-7780):ドロップイン1時間500円〜1DAY2,000円、月額オープン会員5,500円、全国約900店舗使い放題のプレミアムパスポート22,000円。営業時間9:00〜19:00(休館:金・土)。
7. 開業手続きの窓口
- 飲食店営業許可など食品営業許可:鹿嶋市を管轄するのは茨城県潮来保健所です(〒311-2422 茨城県潮来市大洲1446-1/0299-66-2114)。水戸市のような中核市とは異なり、鹿嶋市自体は保健所を持たないため、県の保健所が窓口になります。
- 法人市民税(法人税割):標準税率6.0%(令和元年10月1日以後開始事業年度から適用)。茨城県内では8.4%(制限税率)を採用する市町村(水戸市・取手市・筑西市・大洗町・笠間市・守谷市・石岡市・龍ケ崎市など)も多く、これらと比べると鹿嶋市は法人の税負担が軽い部類に入ります(牛久市・神栖市も同じく6.0%)。
- 均等割:資本金等の額1,000万円以下・市内従業者50人以下の最小区分で年5万円。
- 事業所税:事業所税は人口30万人以上の指定都市等が課税団体となる税目で、鹿嶋市(人口約6.4万人)はこの人口要件を満たさないため課税団体には該当しないとみられます。ただし市の公式ページでの明記は確認できていないため、詳細は鹿嶋市の担当課にご確認ください。
8. 鹿嶋市で創業するときのチャンスとリスク
チャンス
- 昼夜間人口比率105.4(県内6位)の流入超過型 ― 人口6.4万人の街でありながら、平日は周辺の神栖市・潮来市などから約3,600人が働きに来ています。住民数だけでは見えない「昼間市場」がある街です。
- 鹿島アントラーズという他の43市町村にない資産 ― メルカリスタジアム収容40,728人、2025年シーズン平均入場者27,401人(前年比+19%)。ホームゲーム開催日には数万人規模の人が短時間で移動し、飲食・物販・宿泊に明確な需要ピークが生まれます。
- 鹿島神宮という観光の核 ― 初詣参拝者数50万人(令和6年)、年間観光入込客数2,120,600人(令和6年)。年間を通じて一定の観光需要が見込めます。
- チャレンジショップ支援事業補助金が県内屈指の手厚さ ― 店舗改修・建築費上限300万円(補助率1/2)に加え、経営支援費上限200万円が補助率10/10(全額補助)。募集期限は2026年8月31日ですが、予算残があれば随時継続します。
- 法人税割6.0%で法人の税負担が軽い ― 8.4%を採用する近隣市(水戸市・取手市・筑西市など)と比べ、法人の実効負担は明確に軽くなります。
リスク
- 1人当たり市町村民所得の急落 ― 令和4年度382万8千円(県内7位)から令和5年度362万7千円(県内18位)へ低下し、名目成長率−25.7%は県内最大の落ち込みでした。市の経済が鉄鋼市況に強く連動している構造そのもののリスクです。
- 製造品出荷額等9,821億円のうち鉄鋼業が90.8% ― 産業構造が特定業種に極端に依存しており、鉄鋼市況の悪化がそのまま地域経済全体に波及しやすい構造です。
- 人口減少率−4.4%(令和2年比) ― 茨城県全体(−2.6%)より下落幅が大きく、高齢化率33.4%・年少人口11.0%という年齢構成の偏りも進んでいます。
- 鉄道が弱く、東京直結は高速バス頼み ― 鹿島神宮駅の1日平均乗車人員は810人(2023年度)にとどまり、鉄道利用者を前提にした商圏設計は成り立ちません。移動は車と高速バス「かしま号」が前提になります。
創業予定であれば、まず特定創業支援等事業の証明取得(登録免許税半減+保証枠の前倒し+公庫融資の利率引き下げ)を土台に、店舗型ならチャレンジショップ支援事業補助金、資金調達なら振興金融・自治金融を組み合わせるのが、鹿嶋市における現実的な最初の一歩です。あわせて、鹿島アントラーズ・鹿島神宮という集客資産をどう自分の事業に取り込むかが、この街ならではの勝ち筋になります。
データ出典
- 市町村のデータ(鹿嶋市)/茨城県
- 令和2年国勢調査 従業地・通学地集計(表-4)/茨城県
- 令和5年度茨城県市町村民経済計算/茨城県
- 市町村民経済計算の令和4年度推計結果について/茨城県
- 市町村別 国籍・地域別 在留外国人数(令和7年6月末)/茨城県国際課
- 茨城の観光レクリエーション現況(令和6年観光客動態調査報告)/茨城県
- 創業支援事業について/鹿嶋市
- 中小企業庁 市区町村別の認定創業支援等事業計画の概要(茨城県)
- 令和8年度チャレンジショップ支援事業補助金の募集案内/鹿嶋市
- 令和8年度鹿嶋市地域ブランド商品開発等補助金/鹿嶋市
- 鹿嶋市中小企業事業資金融資/鹿嶋市
- 法人市民税/鹿嶋市
- 潮来保健所/茨城県
- 鹿嶋市内の地名の由来(鹿嶋市の変遷から見る)/鹿嶋市
- いいオフィス鹿嶋 by みちくさ
- 株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シー/gBizINFO
免責:補助金・融資制度は年度ごとに内容や募集状況が変わります。申請前に必ず各窓口(鹿嶋市 商工観光課 商工労政グループ 0299-82-2911、鹿嶋市商工会 0299-82-1919 ほか)で最新情報をご確認ください。本記事の数値は2026年7月31日時点で公表されていたデータに基づいています。

