【集客編】いつかは自分の会社を持ちたい…というあなたが今できること
「いつか自分の会社を持ちたい」――そう思いながらも、日々の仕事に追われて、具体的な一歩を踏み出せずにいませんか?

この記事では、「いつか起業したい」という想いを持つあなたが、独立前の今だからこそ実践できる集客の基礎知識と行動について解説していきます。
創業計画書の、あの欄で手が止まる
会社を設立する時に必要になるのが借入です。
例えば、日本政策金融公庫の創業融資を申し込むとき、「創業計画書」を書くことになりますが、
事業の内容、必要な資金、返済の計画……。ひとつずつ埋めていって、ふと手が止まるのが「どうやってお客さまを集めますか?」という欄ではないでしょうか。

まだ事業を始めていないわけですから、この時点でハッキリしたイメージがなくても、それは当たり前のことです。誰でも最初はそうです。
ただ、ここを
「SNSで週1回くらい投稿して集客していこうかな」
くらいのふわっとしたイメージのまま出発してしまうと、あとで少しつらい思いをすることがあります。
「週1投稿」は、思っているより難しい
実際に事業を始めてみると、本当にバタバタします。
仕入れ、経理、お客さま対応、届出、設備の不具合……。
想像していなかった雑事が毎日押し寄せてきて、気づけば「今週も投稿できなかったな」という日が続いていく。
そうこうしているうちに、当初あてにしていたSNS経由の集客がほとんど動かず、売上が計画から離れていって、思っていたのと全然違う形で赤字が続いてしまった。

もちろん、SNSだけが集客経路ではないですが、集客というのは上手くいかないものです…
このようなケース、決して珍しい話ではないんです。
だからこそ、事業計画をつくる段階で、SNSやホームページの運用を「なんとなく」ではなく、具体的に決めておくことがとても大事になります。
「いや、そんなことは分かってるよ!」
という声が聞こえてきそうです。
では、もう一歩踏み込んで──開業前の段階で、どこまで具体的に動いておけるものなのか。

今日はそこをお話ししてみたいと思います!
その前に。売上って、そもそもどう見積もるのか
少し遠回りに見えるかもしれませんが、ここを押さえると「集客の準備」の意味がぐっと分かりやすくなります。
日本政策金融公庫の資料にも出てくる例を借りて、独立してパン屋さんを開くケースで考えてみましょう。
売上を分解すると、ざっくりこうなります。
売上 = 客数 × 単価
もっと細かく分けることもできますが、まずはこの形で十分です。
このうち単価は、自分である程度決められます。
もちろん、近所のパン屋さんと比べて驚くほど高ければ売れないでしょうから、相場という制約はあります。それでも「いくらで売るか」は自分の裁量の範囲です。
問題は客数のほうです。
こちらは、どうやっても自分では決められません。「今日は100人来てもらう」「この日は200人」なんて、こちらの都合で動かせるものではないからです。
そう、すべてお客さま次第なのです。
実績のない客数を、どう説明するか
前期決算、つまり去年の実績数値がない状態で客数を置くのは、正直なところ、かなり手探りの作業になります。
それでも、まったくの当てずっぽうにしないための方法はいくつかあります。
- 新規開業したパン屋さんの平均的な来客数のデータを使う
- 近隣エリアで最近開業した同業者の1年目の実感値を参考にする
こうした外部の数字を借りてくるやり方ですね。これはこれで、立派な根拠になります。
ただ、ここでもう一段、説得力の質が変わる方法があります。
もし、すでに1万人のフォロワーがいたら?
想像してみてください。
開業前の時点で、フォロワーが1万人いるSNSアカウントをすでに持っていたとしたら、どうでしょう。
投稿をすれば、1万人の見込みのお客さまに届く状態が、開業初日からある。
もちろん1万人が毎日来てくれるはずはありません。でも、たとえばそのうち10%の1,000人が「こんなイベントやってます」という投稿に反応してくれるとしたら。それも毎日ではなく、週に1回、あるいは月に1回の告知だとしても。
その1,000人という数字が、計画のベースラインになります。
しかもこの「1万人のうち1,000人」という見方は、かなり保守的です。パンは日常的に買うものですから、週に2回、3回と足を運んでくれる方だっているかもしれません。
最終的に「思っていたのと全然違いました」となる可能性は、正直、どんな計画にもあります。
それでも──1万人という実際に積み上がった数字がある状態と、何もない状態とでは、説明するときの手触りがまるで違うんです。
私自身の話をすると
偉そうに書いていますが、私はSNSを積極的に運用していたかというと、していませんでした。単純に忙しくて、そこまで手が回らなかった、というのが正直なところです(言い訳ですね)。
その代わり、独立するにあたってホームページを作り、ブログ記事を書いていました。
税務の知識、会計の知識、事業承継の知識。自分で勉強しながら、その内容を記事にまとめていく、という地道な作業です。
私は7月に開業しました。今、そのホームページを何人に見ていただけているかというと、だいたい月に1,000人です。
この1,000人を多いと見るか少ないと見るかは、人によると思います。ただ、そのおかげかどうかは分かりませんが、開業から3週間で、お問い合わせが2件ありました。
もちろん、そのすべてがそのまま売上になるわけではありません。
「一緒にこういうことをしませんか?」というお誘いの可能性もあります。
それでも、会計士・税理士の仕事は1件お受けできればそれなりの金額になりますから、2件のお問い合わせというのは、あるとないとでは全然違います。
数字にすると、コンバージョンは0.2〜0.3%といったところです。決して高くはありません。
でも、事前に準備をしていたからこそ、開業当初から月1,000人に見ていただける状態でスタートできた。ここが大事なところだと思っています。
サイトはまだまだ改善の途中です。
自分の考えや、これからやりたいことを、もっと分かりやすく発信していきたい。その中身に共感していただいて「この人に頼みたい」と思ってもらえたら、そこから売上にもつながりますし、協力関係も築いていけるんじゃないかと思っています。
つまり、こういうことです
少し話が広がってしまいましたが、お伝えしたかったのはシンプルなことです。
SNSでもブログでもホームページでも構いません。開業前の時点で「毎月1,000人が見てくれている」「フォロワーが1万人いる」という実績があると、そこから導いた見立ての数字には、圧倒的な説得力が生まれます。
創業計画書の集客欄に書くのが「SNSを頑張ります」なのか、「すでに1万人のフォロワーがいて、そのうち10%への訴求を想定しています」なのか。
読む側の受け取り方は、まったく違うものになります。
でも、副業禁止なんですけど……という話
ここまで読んで、「いや、そうは言っても」と思われた方も多いと思います。
会社に勤めながら準備をしている方にとって、次のビジネスのアカウントを堂々と運営するのは、なかなか難しいですよね。
副業が禁止されているのに、SNSで自分のビジネスの発信をしていく。法律に違反しているという話ではないにしても、会社で「やってはいけません」と言われていることをやるのは、やはり気が引けます。
周囲の目や評判も気になりますよね…
その気持ちは、とてもよく分かります。
だからこそ、おすすめしたい考え方があります。
「趣味でやっています」というスタンスで発信する
一番いいのは、自分の趣味として、あるいは自分の勉強のために発信するというコンセプトで始めることです。
さきほどのパン屋さんの例で言えば、こうなります。
「パン作りが趣味なんです」
うまくいった日のこと、失敗した日のこと。生地がうまく膨らまなかった話も、思いがけずきれいに焼けた話も、包み隠さず発信していく。
これを続けていくと、発信を通じてフォロワーが育っていきます。そして開業したときには、その積み上がった土台をそのまま顧客基盤として使えるわけです。
ここで大事なのは、お仕事としての発信でなくてまったく構わないということです。
「開業しようと思っています、こういうものを作っています」と宣言するやり方もアリだとは思います。でも多くの方は、副業禁止といった制約の中で、静かに着々と準備を進めているはずです。
そういうときに、「これは私の趣味ですから」という説明が立つ。しかも、実際そのとおりなんですよね。
「勉強しています」というスタンスで発信する
もうひとつが、学んだ内容をまとめて発信するというやり方です。
これからコンサルティング業を始める方、税理士や会計士のような士業、あるいは勉強がどうしても必要になる少し特殊な業界の方には、こちらが向いています。
自分が勉強した内容を、ブログでもnoteでも、媒体は何でも構いません。整理してまとめて、発信していく。
これは純粋に自分の勉強のためにやっていることであって、副業でも何でもありません。堂々と認められる範囲内です。
私自身も、独立前は「税務ノート」という形でやっていました。税金の知識を自分なりにまとめて復習したり、「実務ではこういうところが問題になるのかな」と考えたことを記事にしたり。
書くと自分の理解も深まりますし、その記事は開業後も資産として残り続けます。一石二鳥どころではないな、というのが正直な実感です。
おわりに
創業融資にたどり着く前に、できることはたくさんあります。
しかもその多くは、お金をかけずに、今日から始められることです。趣味として、勉強として、無理のない形で。
半年後、1年後にあなたが創業計画書を書くとき、そこに書ける「数字」がひとつでもあるかどうかで、その1枚の重みは変わってきます。
そしてその数字は、金融機関を説得するためだけのものではありません。開業したその日から、あなたの事業を支えてくれる本物の土台になります。
これから創業を考えている方、まだ迷っている段階という方へ。
「創業するかどうかも、まだ決めきれていなくて」という状態でまったく問題ありません。むしろ、その段階でご相談いただけたほうが、できることの幅は広がります。
初回のご相談は無料でお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

