個人事業主の記帳と確定申告までの流れについて

佐藤

確定申告までのスケジュール

1月から記帳を開始する場合、まず1月から12月31日までは、日々の売上や経費などの取引を複式簿記により記帳していきます。

領収書や請求書、通帳、クレジットカード明細なども併せて整理・保存しておくことが重要です。

年が明けた1月から2月中旬までは、確定申告に向けた決算・申告準備期間となります。売掛金や未払金、減価償却費などの決算整理仕訳を行い、1年間の帳簿を完成させます。

また、確定申告で必要となる資料もこの時期に揃えていきます。例えば、住宅ローン控除を受ける場合には住宅ローンの年末残高証明書など、ふるさと納税をしている場合には寄附金受領証明書等を準備します。

日々の記帳が適切に行われていれば、この期間で十分に準備することができます。

佐藤
佐藤

2026年9月スタートの場合

確定申告までのスケジュール

現在
9月〜12月
日々の記帳

売上・経費を複式簿記で記録

1月〜2月中旬
決算整理・資料準備

控除証明書や残高証明書などを整理

2月16日〜3月15日
所得税の申告

確定申告書を作成して提出・納付

〜3月31日
消費税の申告

課税事業者は消費税申告を実施

所得税の確定申告は、原則として翌年2月16日から3月15日までに行います。今回の令和8年分(2026年分)については、令和9年3月15日が申告・納付期限です。

一方、消費税の課税事業者に該当する場合には、帳簿から課税売上や課税仕入れなどを集計して消費税申告書を作成します。

個人事業者の消費税の申告・納付期限は翌年3月31日であり、令和8年分については令和9年3月31日となります。

したがって、所得税の申告を3月15日までに終え、その後3月31日までに消費税の申告を完了する、というスケジュールをイメージすると分かりやすいでしょう。

日々の記帳について

日々の記帳については、「必ずこの方法で記帳しなければならない」という決まりがあるわけではありません。

ただし、諸税法や施行規則などでは、保存すべき帳簿や記載しておくべき項目が定められています。そのため、これらのルールを確認しながら、すべてをゼロから自分で記帳していくのは、簿記や税務に慣れていない方にとってはかなり大変です。

そこで、ご自身で日々の記帳を行う場合には、できるだけ会計ソフトを導入することをおすすめします。会計ソフトの利用が法律上必須というわけではありませんが、複式簿記による記帳や決算書の作成、取引データの管理などを考えると、導入しておいた方が無難です。

ここでは、主に3つのクラウド会計ソフトをご紹介します。

ご自身にとって使いやすい会計ソフトが他にある場合には、必ずしもここで紹介するソフトを利用する必要はありません。

一方で、今後「優良な電子帳簿」の要件を満たした形で帳簿を保存していくことまで考えるのであれば、JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)の認証を受けている会計ソフトを選んでおくと安心です。

JIIMA認証一覧

JIIMA認証を取得している
主な会計ソフト一覧

電子帳簿保存法への対応を考える際に確認しておきたい 「電子帳簿ソフト法的要件認証」を取得している 主な会計ソフトをまとめています。

主要クラウド会計・人気ソフト

freee

freee会計

認証番号 107500-00
有効期限 2029/8/20
マネーフォワード

マネーフォワード クラウド会計
/クラウド確定申告

認証番号 104400-00
有効期限 2029/5/23
マネーフォワード

マネーフォワード
クラウド会計Plus

認証番号 104500-00
有効期限 2029/5/23
弥生

弥生会計 Next

認証番号 107300-00
有効期限 2029/6/17
弥生

やよいの青色申告 オンライン

認証番号 106800-00
有効期限 2029/2/24
弥生

弥生会計
/やよいの青色申告

認証番号 100700-01
有効期限 2028/12/26
OBC

勘定奉行クラウド

認証番号 102900-00
有効期限 2028/6/28
PCA

PCA会計シリーズ

認証番号 101800-01
有効期限 2027/9/30
PCA

PCA hyper会計シリーズ

認証番号 101801-01
有効期限 2027/9/30

その他の主なJIIMA認証会計ソフト

ソリマチ

会計王

認証番号 100402-02
有効期限 2028/10/24
ソリマチ

会計王PRO

認証番号 100404-00
有効期限 2028/10/24
ソリマチ

みんなの青色申告

認証番号 100401-02
有効期限 2028/10/24
ソリマチ

MA1

認証番号 100400-02
有効期限 2028/10/24
TKC

FX2クラウド

認証番号 100100-02
有効期限 2028/4/14
TKC

FXまいスタークラウド

認証番号 100101-02
有効期限 2028/4/14
TKC

FX2クラウド(個人用)

認証番号 100102-02
有効期限 2028/4/14
TKC

FX2

認証番号 100000-02
有効期限 2028/4/14
TKC

FX4クラウド

認証番号 100003-02
有効期限 2028/4/14
MJS

ACELINK NX-Pro 会計大将

認証番号 100900-01
有効期限 2029/5/22
MJS

ACELINK NX-CE 会計

認証番号 100901-01
有効期限 2029/5/22
MJS

MJSLINK NX-Plus 財務大将

認証番号 100903-01
有効期限 2029/5/22
MJS

MJSLINK DX 財務大将

認証番号 100904-01
有効期限 2029/5/22
エプソン

エプソンの財務会計
プロフェッショナル

認証番号 105700-01
有効期限 2030/1/19
ジョブカン

ジョブカンDesktop会計

認証番号 103800-00
有効期限 2028/11/1
ジョブカン

ジョブカンDesktop青色申告

認証番号 103801-00
有効期限 2028/11/1
ジョブカン

ジョブカン青色申告

認証番号 106100-00
有効期限 2027/4/11
応研

大蔵大臣NX

認証番号 103900-00
有効期限 2028/11/1
応研

建設大臣NX

認証番号 103902-00
有効期限 2028/11/1
ハンド

魔法陣会計クラウド

認証番号 106500-00
有効期限 2027/9/30
フリーウェイジャパン

フリーウェイ経理

認証番号 107400-00
有効期限 2029/7/17
全国青色申告会総連合系

ブルーリターンA

認証番号 101600-01
有効期限 2029/11/23

そのため、これから新しく会計ソフトを導入するのであれば、機能や料金だけでなく、JIIMA認証の有無も確認したうえで選択しましょう

消費税について

出典:国税庁

消費税は、商品を販売したりサービスを提供したりした際にかかる税金です。

現在の税率は原則10%で、飲食料品など一定のものには軽減税率8%が適用されます。

事業者は、お客様から受け取った消費税から、仕入れや経費などで支払った消費税を差し引き、その差額を国に納付するのが基本的な仕組みです。

消費税の取引は大きく4つに分類される

日々の取引は、消費税上おおむね次のように分類できます。

分類
内容
具体例
課税取引
消費税がかかる取引
商品販売、サービス提供、事務用品の購入など
非課税取引
法律上、消費税を課さない取引
土地の売買、住宅家賃、一定の医療費など
免税取引
本来は課税取引だが、税率を0%とするもの
商品の輸出など
不課税(対象外)取引
そもそも消費税の対象にならないもの
寄附金、配当金、国外取引など

「非課税」と「不課税」は似ていますが、消費税上の取扱いは異なるため、会計ソフトへ入力するときには区分を意識しておく必要があります。

「免税事業者」と「課税事業者」の違い

個人事業主だからといって、必ず消費税を納めるわけではありません。

原則として、前々年の課税売上高が1,000万円以下であれば「免税事業者」となり、消費税の納税義務はありません。

一方、前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合などには「課税事業者」となります。

また、前々年の売上が1,000万円以下でも、前年1月~6月の課税売上高が1,000万円を超える場合などには課税事業者となることがあります。

さらに、インボイス発行事業者として登録している場合は、売上高にかかわらず原則として消費税の申告が必要です。

合わせて読みたい
インボイス制度について
インボイス制度について

新しく開業した個人事業主は前々年の実績がないため、原則として開業当初は免税事業者となります。ただし、インボイス登録をした場合などは課税事業者になります。

消費税の計算方法は主に3種類

課税事業者になった場合、主な計算方法は次の3つです。

① 原則課税(一般課税)
売上で受け取った消費税から、仕入れや経費で支払った消費税を差し引いて計算します。

② 簡易課税
前々年の課税売上高が5,000万円以下など一定の要件を満たす場合に選択できます。実際に支払った消費税ではなく、業種ごとに決められた「みなし仕入率」を使って計算する方法です。適用するためには原則として事前の届出が必要です。

③ 2割特例
インボイス制度をきっかけに免税事業者から課税事業者になった一定の事業者については、2026年分まで、売上にかかる消費税額の2割を納付税額とする特例があります。なお、個人事業者については2027年・2028年分に「3割特例」が設けられています。

個人事業主が行う主な手続き

まず、自分が免税事業者なのか課税事業者なのかを確認します。

課税売上高が1,000万円を超えたことにより課税事業者となる場合には、原則として「消費税課税事業者届出書」を税務署へ提出します。

簡易課税を利用したい場合には、「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出が必要です。また、インボイスを発行したい場合には、別途インボイス発行事業者の登録申請を行います。

帳簿保存に関して

電子帳簿保存法とは、帳簿や請求書・領収書などの税務関係書類を、一定の要件を満たすことで電子データとして保存できるようにする法律です。

大きく分けると、

  • 「電子帳簿等保存」
  • 「スキャナ保存」
  • 「電子取引データ保存」

の3つがあります。

合わせて読みたい
電子帳簿保存制度特設サイト
電子帳簿保存制度特設サイト

電子帳簿等保存は、会計ソフトなどで最初から電子的に作成した帳簿や書類を、そのままデータで保存する方法です。

一定の要件を満たした「優良な電子帳簿」として保存している場合には、事前に届出をすることで過少申告加算税が5%軽減される制度もあります。

スキャナ保存は、紙で受け取った請求書や領収書などをスキャンやスマートフォンで読み取り、一定の要件のもと電子データで保存する方法です。

一方、メールで受け取ったPDFの請求書や、インターネット上からダウンロードした領収書などの「電子取引データ」は、原則として電子データのまま保存する必要があります。

したがって、紙の書類だけでなく、メールやWeb上で受け取った書類の管理も重要になります。

ABOUT ME
佐藤
佐藤
税理士・公認会計士
東京都立大学(旧・首都大学東京)を卒業後、KPMGあずさ監査法人に入所。銀行・証券会社をはじめとする日系金融機関を中心に、監査業務に従事してまいりました。その後、茨城県つくば市にて税理士事務所を開設し、現在に至ります。
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