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【稲敷市】創業・起業のための地域データガイド|人口・産業・支援制度でわかるビジネス環境

佐藤

稲敷市は平成17年(2005年)3月22日、江戸崎町・新利根町・東町の3町と桜川村の1村が合併して発足しました。市内に鉄道駅はなく、稲敷IC・稲敷東ICと成田方面への道路が交通軸です。人口は令和2~7年に9.3%減りましたが、直近1年は転出超過より自然減の影響が大きい構造です。製造業と農業を含む創業環境を整理します。

この記事でわかること

  • 稲敷市の人口減少と年齢構成から見える客層
  • 鉄道駅のない市での交通・商圏の考え方
  • 旧3町1村のエリアごとの特徴と集客施設
  • 工業団地、製造業、農業を起点にした取引機会
  • 令和8年度の補助金・融資・相談窓口

1. 稲敷市の基本プロフィール

項目 データ 基準時点
人口 35,390人(茨城県内30位) 令和7年10月1日・国勢調査速報値
世帯数 14,127世帯 同上
人口増減(令和2年比) −3,649人(−9.3%) 同上
1世帯当たり人員 2.51人 同上
面積 205.81km² 令和8年1月1日
人口密度 171.1人/km² 令和8年4月1日・常住人口ベース
高齢化率(65歳以上) 40.6% 令和7年10月1日推計
昼夜間人口比率 98.0(茨城県内44市町村中14位) 令和2年10月1日・国勢調査
1人当たり市町村民所得 318.5万円 令和5年度

人口・世帯と人口密度は統計系列が異なるため、表にそれぞれの基準時点を示しました。

2. 人口データで読む稲敷市

2-1. 人口規模と推移

人口は35,390人(令和7年国勢調査速報値)で、令和2年比3,649人、9.3%減。本ガイドの比較対象5市町村では最大の減少率です。

令和7年1月1日~12月31日は、出生106人・死亡682人で自然減576人、転入1,334人・転出1,394人で社会減60人でした。同じ住民基本台帳系列の総減少636人の90.6%を自然減が占め、直近1年は出生・死亡差が主因です。なお、単年の内訳を令和2~7年の減少全体には当てはめられません。

創業時の目線:新規転入者だけでなく、既存住民の生活維持、高齢者支援、事業承継に近い需要を確かめる必要があります。

2-2. 年齢構成 ― 誰が住んでいる街か

令和7年10月1日推計の年齢構成は、年少人口7.2%、生産年齢人口52.3%、65歳以上40.6%です。高齢化率40.6%は高い水準で、子育て世帯だけを前提にした商圏設計には慎重さが必要です。

創業時の目線:配達、住宅修繕、健康・生活支援では、高齢者本人に加えて離れて暮らす家族も相談者として想定できます。

2-3. 世帯構成 ― 単価と客層を決める要素

14,127世帯、1世帯当たり2.51人です(令和7年国勢調査速報値)。住宅修繕、清掃、宅配などは世帯数も需要の母数になります。

創業時の目線:世帯契約型の売上は人口連動型と分けて試算し、訪問の移動時間も原価に含めます。

2-4. 昼間人口と商圏 ― 「住んでいる人」だけが客ではない

昼夜間人口比率は98.0(茨城県内44市町村中14位)、流入8,655人、流出9,440人です(令和2年国勢調査)。昼間人口は夜間人口をわずかに下回ります。

創業時の目線:工業団地向けの弁当、清掃、保守、採用支援は、居住者市場とは分けて見積もります。

2-5. 外国人・学生など特徴的な層

外国人住民は1,780人で、同一資料の市人口に占める割合は4.84%です(令和7年4月1日)。一方、学生数の市内集計は調査資料で未取得です。

創業時の目線:多言語の生活案内や買い物支援は検討対象ですが、需要は外国人を雇用する企業への聞き取りで確かめます。

3. エリア別の特徴 ― どこで開業するかで別のビジネスになる

平成17年(2005年)3月22日、江戸崎町・新利根町・東町の3町と桜川村の1村が合併して発足しました。旧江戸崎町は行政・商業の中心、旧新利根町は水田地帯、旧東町は大規模水田・工業団地・大型商業施設が特徴です。旧桜川村の詳しい現況は未取得です。

江戸崎ショッピングセンターパンプは平成7年3月開業・18,866㎡で、核店舗はカスミです。パルナは平成11年11月開業・15,945㎡。両施設とも令和8年6月15日時点で現行施設です。

観光入込客数は423,900人、前年比92.2%(令和6年)、同年8月24日の夏まつり花火大会は10万人です。令和8年8月8日時点の施設には、イバライド、歴史民俗資料館、えどさき笑遊館、和田公園があります。施設別来場者数は未取得です。

市内に鉄道駅はありません。公共交通はJRバス関東の土浦―江戸崎、関東鉄道バス、東京駅行き高速バスです(令和8年4月1日)。道路は稲敷IC・稲敷東ICが核で、市役所から成田ICまで約26km・約35分です(令和8年8月8日閲覧)。

創業時の目線:駅前型ではなく、自動車での来店、訪問・配送、工業団地への営業を前提に立地を選ぶ地域です。店舗型なら商業施設や幹線道路との関係、サービス型なら移動範囲と成田方面への接続を事業計画に落とし込みます。

4. 産業構造 ― この街のお金はどこから来るのか

4-1. 産業別の就業者構成

産業区分 就業者割合 基準時点
第1次産業 8.60% 令和2年国勢調査
第2次産業 32.91% 同上
第3次産業 58.49% 同上

農業と製造業の双方が地域経済を支え、サービス業だけに偏らない構成です。

4-2. 事業所数と従業者数

市全体の事業所数・従業者数は未取得のため、推計では補いません。

4-3. 商業(卸売・小売)の市場規模

年間商品販売額は536億円です(令和2年)。卸売・小売の内訳は調査資料で確定していないため、市全体の金額として見ます。

4-4. 製造業・農業など地域の基幹産業

製造品出荷額等は1,681億円です(令和5年、従業者4人以上の事業所)。市内には7工業団地があります。

工業団地 分譲・企業の状況 確認時点
稲敷工業団地 完売。南総通運は39,177㎡に物流拠点を計画中 令和6年9月18日契約
江戸崎工業団地 主な進出企業8社 令和6年4月1日
中山工業団地 9事業者 令和8年8月8日
下太田工業団地 14社 同上
下太田第二工業団地 5社 同上
向山工業団地 1社(ネスレ日本) 同上
筑波東部工業団地 10社 同上

南総通運の物流拠点は令和9年4月操業予定で、令和8年8月8日時点では未開業です。現在の売上計画には算入できません。

農業では、米の産出額が60.2億円で、茨城県内の市町村1位です(令和5年)。これは稲敷市の県内順位であり、茨城県全体の全国順位ではありません。れんこんは古渡地区15.97ha、浮島地区117.36haで、両地区の販売額は合計920,791,000円、約9.2億円です(令和2年現状値)。かんしょも令和8年8月8日の調査時点で市の特産として扱われますが、産出額や市町村順位は未取得のため記載しません。

創業時の目線:農業では加工・包装・運送・販路支援、工業では既存団地の外注需要を先に確かめます。南総通運は将来材料です。

5. 稲敷市を代表する企業 ― 取引先候補として

令和8年8月8日に本店所在地を市内まで照合できた例で、売上高順位ではありません。

市内本店企業・法人 確認できた位置付け
株式会社れんこん三兄弟 れんこんの生産・販売
江戸崎共栄工業株式会社 市内本店企業
HIK株式会社 江戸崎工業団地の金属製品製造業
協同組合江戸崎ショッピングセンター パンプの運営主体
株式会社クリーンセンター稲敷 市内本店企業
株式会社アグリ稲敷 市内本店企業
株式会社いなしき 市内本店企業
稲敷産業開発株式会社 市内本店企業

本社が市外の進出企業は別表にしました。

進出企業 市内拠点・状況 基準時点
株式会社SHOEI 江戸崎工場(江戸崎工業団地)。ヘルメット、従業員255人 令和7年9月30日
株式会社ホギメディカル 江戸崎物流センター 令和7年3月期資料
ネスレ日本株式会社 向山工業団地の掲載企業 令和8年8月8日確認
ヒロセホールディングス株式会社 稲敷工業団地16.4haの立地契約 令和3年3月22日契約。現況未取得
南総通運株式会社 稲敷工業団地に物流拠点を計画 令和9年4月操業予定。令和8年8月8日時点は未開業

創業時の目線:本店企業と進出企業を分け、清掃、保守、輸送、人材、弁当など拠点ごとの外注需要を確かめます。

6. 創業支援制度とお金の話

6-1. 特定創業支援等事業(まず最初に取るべき証明)

計画は平成28年8月31日に国の認定を受けています。継続相談の証明を取得すると登録免許税が0.7%から0.35%へ軽減され、株式会社の最低額は15万円から7.5万円、合同会社は6万円から3万円です(令和8年8月8日確認)。令和8年度セミナーは同年6月24日~8月5日に実施済みです。

6-2. 市町村独自の補助金

制度 支援内容 令和8年度の状況
稲敷市創業支援事業補助金 対象経費の1/2、上限50万円。UIJターン20万円、女性10万円、空き店舗活用10万円を加算し上限90万円 令和8年4月1日~令和9年3月31日受付
わくわく茨城生活実現事業移住支援金 2人以上世帯100万円、単身60万円 令和8年4月1日更新。要件・予算上限あり
若年夫婦・若年子育て世帯住宅取得支援 20万~140万円 令和8年7月22日更新
稲敷工業団地用地取得助成 土地購入代金の5% 令和8年8月8日確認
本社機能移転等支援 建物・設備の1/2、上限2,000万円。雇用は1人100万円、上限1,000万円 同上

創業支援事業補助金は創業後1年未満などが要件で、交付決定前着手は対象外です(令和8年度)。予算状況も確認してください。

6-3. 融資・制度融資

市の融資あっせんは限度1,000万円、設備・運転資金とも7年以内です(令和8年1月31日現在)。市内で同一事業を1年以上続けることが原則のため、開業前資金とは分けます。創業支援認定者の信用保証料は2分の1、特定創業支援の証明取得者は全額補助、公庫の創業融資利子は年1%相当を3年間補助します(令和8年8月8日確認)。

6-4. 相談窓口・コワーキング

窓口は市産業振興課(令和8年8月8日時点、029-892-2000)と市商工会(令和8年度、江戸崎甲3557-1、029-892-2603)です。専用コワーキング施設は令和8年度一次資料で確認できませんでした。

創業時の目線:補助金は交付決定前着手が対象外です。物件契約や工事発注の前に相談し、特定創業支援の証明、補助金、開業前融資を同じ資金計画上で整理してください。

7. 開業手続きの窓口(保健所・許認可・税務)

  • 飲食店営業許可などの窓口は茨城県竜ケ崎保健所衛生課です。所在地は龍ケ崎市2983-1、電話0297-62-2163で、工事着工前の相談が案内されています(令和8年4月11日更新)。
  • 法人市民税の法人税割は6.0%です(令和元年10月1日以後に開始する事業年度)。均等割の最小区分は年5万円です(資本金等1,000万円以下・市内従業者50人以下、令和8年8月8日確認)。
  • 事業所税の課税団体該当性は調査資料で確定できていません。開業前に稲敷市税務課へ確認してください。

8. 稲敷市で創業するときのチャンスとリスク

チャンス

  1. 米の産出額60.2億円が茨城県内の市町村1位(令和5年)で、農産物の加工・物流・販売支援へ展開余地がある
  2. 製造品出荷額等1,681億円(令和5年)と7工業団地を背景に、事業者向けサービスの営業先を探せる
  3. 稲敷IC・稲敷東ICと、市役所から成田ICまで約26km・約35分の道路アクセス(令和8年8月8日閲覧)を配送・訪問に生かせる
  4. 創業支援事業補助金は加算込み上限90万円で、令和8年度は令和9年3月31日まで受付期間が設定されている

リスク

  1. 人口は令和2年から令和7年に9.3%減り、高齢化率は40.6%(令和7年10月1日推計)と高水準
  2. 令和7年の総減少636人の90.6%が自然減で、転入促進だけでは人口構造の反転が難しい
  3. 市内に鉄道駅がなく、店舗集客・採用・訪問のいずれも自動車とバスの条件に左右される
  4. 南総通運の物流拠点は令和9年4月操業予定であり、令和8年8月8日時点では未開業。現在の需要として事業計画に算入できない

商工会または市へ先に相談し、補助金の交付決定前着手を避けつつ、移動時間と営業先候補を現地で確かめることが重要です。

データ出典

免責:補助金・融資制度は年度ごとに内容や募集状況が変わります。申請前に必ず稲敷市、稲敷市商工会、金融機関など各窓口で最新情報をご確認ください。本記事は2026年8月8日時点で公表されていたデータに基づいています。

ABOUT ME
佐藤
佐藤
税理士・公認会計士
東京都立大学(旧・首都大学東京)を卒業後、KPMGあずさ監査法人に入所。銀行・証券会社をはじめとする日系金融機関を中心に、監査業務に従事してまいりました。その後、茨城県つくば市にて税理士事務所を開設し、現在に至ります。
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