【日立市】創業・起業のための地域データガイド|人口・産業・支援制度でわかるビジネス環境
日立製作所創業の地として知られる企業城下町・日立市。
令和7年国勢調査では人口減少「数」が茨城県内最大となり、高齢化率も県内で突出して高い水準にあります。
一方で、製造業の従業者数は県内1位を維持し、産業基盤そのものは依然として強固です。
「縮小する街」であることを隠さず、そこでどう創業機会を見出すかを、人口・産業・企業・支援制度のデータから整理しました。
この記事でわかること
- 日立市の人口規模・年齢構成と、県内最大の人口減少数が示す市場の現実
- 昼夜間人口比率106.3が示す「日中の流入超過」という強み
- 製造業従業者数県内1位という産業基盤の厚みと、その裏にある企業城下町特有のリスク
- 日立市に本社登記のある企業と、「創業の地」に過ぎない企業(日立製作所など)の違い
- 創業時に使える補助金・融資・相談窓口の具体的な金額と窓口
1. 日立市の基本プロフィール
| 項目 | データ | 基準時点 |
|---|---|---|
| 人口 | 158,763人(県内3位) | 令和7年国勢調査 速報値 |
| 世帯数 | 74,122世帯 | 同上 |
| 人口増減(令和2年比) | −15,745人(−9.0%、減少数は県内最大) | 同上 |
| 1世帯当たり人員 | 2.14人 | 同上 |
| 面積 | 225.73km² | 令和8年1月1日 |
| 人口密度 | 703.2人/km² | 令和8年4月1日 |
| 高齢化率(65歳以上) | 35.0%(県内でも突出して高水準) | 令和7年10月1日推計 |
| 年少人口率(15歳未満) | 8.8%(極端に低い水準) | 同上 |
| 昼夜間人口比率 | 106.3 | 令和2年国勢調査 |
| 1人当たり市町村民所得 | 3,524千円 | 令和5年度 |
| 製造業従業者数 | 21,039人(県内1位) | 令和3年経済センサス‐活動調査 |
2. 人口データで読む日立市
2-1. 人口規模と推移
令和7年国勢調査の速報値で、日立市の人口は158,763人(県内3位)。令和2年から15,745人(−9.0%)の減少です。この減少「数」は茨城県内44市町村の中で最大であり、減少率でも県内上位に入ります。世帯数も77,911世帯(令和2年)から74,122世帯へ、3,789世帯(−4.9%)減少しました。
長期で見ると、日立市の人口は昭和後期がピークです。市の推計人口ベースでは1983年(昭和58年)に206,260人、国勢調査ベースでは1985年(昭和60年)に206,074人を記録しました。令和7年国勢調査速報値158,763人は、国勢調査ベースのピークと比べて約23%の減少にあたります。
人口動態(住民基本台帳ベース、2023年)では、出生728人・死亡2,529人で自然増減−1,801人、社会増減−786人。市の資料でも「25〜39歳の転出超過が顕著」「20〜24歳女性の転出超過が拡大傾向」と分析されており、転出理由は20〜24歳では「就職・転職」(57%)、25〜39歳では「住宅・賃貸等」(31〜34%)が中心です。東京圏への転出超過が社会減の中でも最大とされています。
創業時の目線:人口減少「数」が県内最大という事実は隠しようがありません。ただし、これは「新規市場が縮む」と同時に「既存事業者が減る」局面でもあります。若年層、特に25〜39歳の東京圏への転出が続く街では、その世代を市内に引き留める働き方・暮らし方を提案するビジネス(在宅勤務支援、子育て世帯向けサービスなど)に潜在ニーズがあります。
2-2. 年齢構成 ― 誰が住んでいる街か
令和7年10月1日時点の推計で、年少人口(15歳未満)8.8%、生産年齢人口(15〜64歳)56.2%、老年人口=高齢化率35.0%。高齢化率35.0%は県内でも突出して高い水準で、年少人口8.8%は極端に低い数字です。
創業時の目線:高齢化率35%という数字は、裏を返せば「シニア向け市場が県内でもとりわけ厚い街」であることを意味します。訪問系サービス、終活・相続関連、買い物代行、通院・移動支援など、高齢者の生活を支える業態には明確な需要基盤があります。一方で子育て・教育関連は市場自体が縮小し続けている前提で計画する必要があります。
2-3. 世帯構成 ― 単価と客層を決める要素
1世帯当たり人員は2.14人(令和7年国勢調査速報値)。世帯数そのものも令和2年比で3,789世帯(−4.9%)減少しており、水戸市のように「世帯数は増えているが人口が減る」構造ではなく、世帯数・人口ともに減少しているのが日立市の特徴です。
創業時の目線:世帯の絶対数が減っていく街では、既存世帯からの単価アップ(買い替え・リフォーム・サブスクリプション化)や、他地域からの利用者を取り込む導線設計がより重要になります。単純な世帯数の伸びを前提にした出店計画は成立しにくい点に注意が必要です。
2-4. 昼間人口と商圏 ― 「住んでいる人」だけが客ではない
令和2年国勢調査では、日立市の昼間人口は185,583人、夜間人口174,508人で、昼夜間人口比率は106.3。日中は約1.1万人が市外から流入している計算になります。
創業時の目線:昼夜間人口比率106.3は、就業のために市外から日立市へ通う人が一定数いることを示しています。平日ランチ・オフィス街向けサービスなど、居住人口だけでなく通勤者を対象にできる業態には、人口減少という逆風の中でも一定の下支えがあります。
2-5. 外国人・学生など特徴的な層
- 外国人住民:1,736人(住民基本台帳ベース、令和7年1月1日時点)。国籍別の内訳は確認できませんでした。
- 学生:茨城大学工学部(日立キャンパス)の学部生数は2,291人(男性1,971人・女性320人)、その他学生(研究生等)4人(2025年5月1日現在)。大学院生数は確認できませんでした。
創業時の目線:茨城大学工学部の学生約2,300人は、駅前・キャンパス周辺の飲食・生活サービス業にとって安定した固定客層です。ただし市全体の人口減少ペースに対して規模は限定的であり、学生需要だけを軸にした事業計画には限界がある点も踏まえるべきです。
3. エリア別の特徴 ― どこで開業するかで別のビジネスになる
① 日立駅周辺(中心市街地)
2022年1月16日、駅前の核店舗であったイトーヨーカドー日立店が約30年の歴史に幕を閉じました。跡地には2023年4月28日、商業施設「ヒタチエ」が開業。核店舗はいばらきコープ(地下1階)と無印良品(1階)で、日立市役所日立駅前出張所(幸ステーション)、丸善、BOOKOFF PLUS、Seriaなどが入居しています(2023年12月末時点)。空き店舗率や歩行者通行量の公式な調査データは確認できませんでしたが、核店舗の交代という大きな商業環境の変化があったことは事実として押さえておくべきです。
② 常陸多賀駅周辺
市の整備計画資料では「都市のスポンジ化」(空き地・空き家などの低未利用地の発生)が課題として挙げられています。人口密度の低下により医療・福祉・商業などの生活サービス維持が難しくなりつつあり、駅周辺の商業機能も衰退傾向にあると記載されています。ひたちBRTの日立駅方面への延伸に伴い、交通結節機能を西側発着から東側発着へ切り替える方針も示されています。
③ 大甕駅周辺(茨城キリスト教大学)
東西市街地の分断、道路ネットワークの脆弱性、東口交通広場周辺の交通輻輳が課題とされる一方、西側には茨城キリスト教大学(学校法人茨城キリスト教学園)が立地しており、市の整備方針では「大学と地域が出会うまち」を柱に据えています。日立電鉄線の廃線(2005年)に伴う交通結節機能の変化も、この地区特有の事情です。
④ 十王地区(日立市北部)
2004年(平成16年)の合併で日立市に編入されたエリアです。市の立地適正化計画では、神峰町・鹿島町(マンション建築)や会瀬町・東金沢町・十王町城の丘(大規模宅地開発)など、市内でも人口が増加している地区として言及されています。
助川・鮎川地区や、南部の久慈・東海村寄りエリアについては、地区単位での公開統計データを確認できませんでした。
4. 産業構造 ― この街のお金はどこから来るのか
4-1. 産業別の就業者構成
令和2年国勢調査ベースで、第1次産業1.18%、第2次産業34.50%、第3次産業64.32%。県庁所在地の水戸市(第2次18.65%・第3次79.01%)と比べると、第2次産業(製造業中心)の比重が際立って高いのが日立市の産業構造です。
4-2. 事業所数と従業者数 ― 商業・製造業の規模
| 産業 | 事業所数 | 従業者数 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 卸売業 | 262事業所(県内4位) | 2,024人 | 令和3年経済センサス‐活動調査 |
| 小売業 | 994事業所(県内3位) | 8,376人 | 同上 |
| 卸売・小売合計 | 1,256事業所 | 10,400人 | 同上 |
| 製造業 | 276事業所(県内2位) | 21,039人(県内1位) | 同上 |
創業時の目線:事業所の「数」では卸売・小売が製造業を上回りますが、従業者数では製造業が圧倒的です。BtoBで日立市に営業をかけるなら、製造業関連(部品・資材・設備・アウトソーシング)の取引先が最も厚い市場になります。
4-3. 商業(卸売・小売)の市場規模
令和3年経済センサス‐活動調査(年間商品販売額は令和2年計)による日立市の商業データです。
| 区分 | 事業所数 | 従業者数 | 年間商品販売額 | 県内順位(販売額) |
|---|---|---|---|---|
| 卸売業 | 262 | 2,024人 | 1,695億3,600万円 | 県内5位 |
| 小売業 | 994 | 8,376人 | 1,480億6,600万円 | 県内5位 |
| 合計 | 1,256 | 10,400人 | 約3,175億円 | ― |
卸売・小売とも事業所数では県内上位(卸売4位・小売3位)に入る一方、販売額ではいずれも県内5位にとどまります。事業所は多いものの、1事業所あたりの売上規模は県内トップ層ほど大きくない、という構図が読み取れます。
4-4. 製造業 ― 日立市の基幹産業と、その変化
製造品出荷額等(従業員4人以上)の推移は次のとおりです(単位:億円)。
| 年 | 出荷額 |
|---|---|
| 平成12年 | 12,046 |
| 平成22年 | 13,970 |
| 平成27年 | 12,373 |
| 令和元年 | 10,420 |
| 令和2年 | 12,094 |
| 令和3年 | 13,547 |
| 令和4年 | 13,183 |
| 令和5年 | 13,044 |
令和3年経済センサス‐活動調査では、製造業の事業所数276(県内2位)、従業者数21,039人(県内1位)、製造品出荷額等1兆2,094億円(県内2位)。一方、平成29年工業統計時点では出荷額1兆74億円・従業者23,238人・事業所350(いずれも当時県内最多)だったことと比較すると、事業所数は350→276(−21.1%)、従業者数は23,238→21,039人(−9.5%)と、この間に縮小が進んでいます。経済センサスの前回調査比でも、事業所数−63(−18.6%)、従業者数−1,502人(−6.7%)という減少が確認されています。
内閣府の地域経済循環分析では、日立市は「一般機械が第2次産業の48.0%を占める典型的な企業城下町」であり、「域外に本社機能を持つ事業所の立地により企業所得の流出が大きい」と指摘されています。市町村民所得は5,861億円、1人当たり3,524千円(いずれも令和5年度)です。
創業時の目線:製造業の従業者数が今も県内1位である事実は、日立市の産業基盤の厚みを示しています。ただし事業所数・従業者数とも過去10年弱で1〜2割減っており、右肩上がりを前提にはできません。また「域外に本社を持つ事業所への所得流出」という指摘は、大手取引先の意思決定が市外で行われる構造を意味します。下請け・協力会社としてこの構造に依存しすぎない事業設計が重要です。
5. 日立市を代表する企業 ― 取引先候補として
5-1. 日立市に本社(本店)を置く企業
注意:株式会社日立製作所の登記上の本社は東京都千代田区丸の内であり、日立市ではありません。日立市はあくまで「創業の地」(1908年12月、大雄院に鉱山機械修理工場が建設されたのがルーツ、1910年7月16日正式創業)です。この区別を踏まえたうえで、実際に本社登記が日立市にある企業は以下の通りです。
| 企業名 | 業種 | 本社所在地 | 規模・備考 |
|---|---|---|---|
| 日立GEベルノバニュークリアエナジー(旧:日立GEニュークリア・エナジー) | 原子力プラント関連 | 茨城県日立市 | 資本金50億円・従業員約1,500名 |
| 日立パワーソリューションズ | 重電・産業用電気機器 | 茨城県日立市幸町3-2-2(茨城本社)※東京本社(千代田区外神田)も併設 | ― |
| 日立エンジニアリング・アンド・サービス | エンジニアリング | 茨城県日立市 | 売上高967億円(経営事項審査データ) |
| 日立情報制御ソリューションズ | 情報制御システム | 茨城県日立市 | 売上高499億円(同上) |
| 日立協和エンジニアリング | エンジニアリング | 茨城県日立市 | 売上高242億円(同上) |
| 日立設備エンジニアリング | 設備工事 | 茨城県日立市 | 売上高204億円(同上) |
| 鈴縫工業 | 建設 | 茨城県日立市 | 売上高134億円(同上) |
| アルテンジャパン | ソフトウェア・情報処理 | 茨城県日立市 | ― |
| 東鉱商事 | 専門商社 | 茨城県日立市 | ― |
| 北関東スチール | 鉄鋼 | 茨城県日立市 | ― |
※経営事項審査データに基づく売上高は建設業関連事業者を対象としたランキングであり、企業全体の総売上高とは異なる場合があります。
5-2. 「創業の地」であり本社が市外の日立グループ企業
以下は日立市に事業所を持つものの、登記上の本社は市外にある企業です。取引先候補としては有力ですが、「日立市の本社企業」として扱うのは誤りです。
| 企業名 | 登記上の本社所在地 |
|---|---|
| 株式会社日立製作所 | 東京都千代田区丸の内 |
| 日立建機株式会社 | 東京都台東区 |
| 株式会社日立ハイテク | 東京都港区西新橋 |
創業時の目線:「日立市=日立製作所の本社がある街」という思い込みは営業戦略を誤らせます。日立製作所本体への直接営業は東京本社が窓口になる一方、市内で実際に発注権限を持つのは日立GEベルノバニュークリアエナジーや各エンジニアリング子会社であるケースが多いです。取引先を探す際は「どの拠点に発注権限があるか」まで確認する必要があります。
6. 創業支援制度とお金の話
6-1. 特定創業支援等事業 ― まず最初に取るべき証明
日立市は、日立市・日立商工会議所・日本政策金融公庫日立支店・公益財団法人日立地区産業支援センターの4機関が連携する「日立創業支援ネットワーク」として、産業競争力強化法に基づく創業支援等事業計画の認定を受けています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 特定創業支援等事業の要件 | 1か月以上・4回以上のセッション(創業サロン、シェアオフィス、インキュベーション施設利用等、計7事業) |
| 登録免許税の軽減 | 税率0.7%→0.35%(合同会社6万円→3万円) |
| 創業関連保証の特例 | 無担保・第三者保証人不要の融資枠が1,000万円→1,500万円に拡大、創業6か月前から支援対象 |
| 証明書発行窓口 | 産業経済部商工振興課(手数料無料・翌開庁日午後1時発行)/0294-22-3111(内線471・775) |
6-2. 日立市独自の補助金(令和8年度)
| 制度名 | 上限額 | 補助率 | 令和8年度の状況 |
|---|---|---|---|
| 店舗・オフィス開設支援事業 | 開設時50万円/2年目20万円/3年目10万円(3年間で最大80万円) | 1/3 | 令和8年1月1日〜12月31日に新規開店した事業者が対象。申請期限令和9年3月31日 |
| 中小企業競争力強化支援事業補助金 | 80万円 | 1/3以内 | 令和8年5月11日〜11月30日募集中(先着順、期日前に終了する場合あり) |
| 中小企業課題解決支援事業補助金 | 80万円 | 1/3以内 | 同上期間で募集中 |
店舗・オフィス開設支援事業は、JR駅から1km以内またはひたちBRT停留所から500m以内、かつ商業地域等の指定エリア内での新規開店が対象で、市税の未納がないことも要件です。また中小企業競争力強化支援事業補助金と中小企業課題解決支援事業補助金は、同一年度内でいずれか1事業者につき1回のみの利用となります。
6-3. 融資 ― 日立市中小企業融資あっせん
| 制度 | 限度額 | 年利 |
|---|---|---|
| 自治金融 | 1,000万円 | 2.00% |
| 振興金融 | 2,000万円 | 2.10% |
共通要件は、市内で3か月以上事業を営み市税を完納していること、期間10年以内、原則無担保。利子補給は年1%相当が3年間、信用保証料は全額補給されます。窓口は日立商工会議所(0294-22-0128)または日立市十王商工会(0294-39-2086)です。
※自治金融・振興金融は「市内で3か月以上の事業実績」が要件のため、開業前の創業資金としては使えません。開業前の資金調達には、特定創業支援等事業の証明を活用した日本政策金融公庫の融資などを検討する必要があります。
6-4. 相談窓口・コワーキング
| 窓口 | 所在地 | 連絡先 |
|---|---|---|
| 公益財団法人日立地区産業支援センター | 日立市西成沢町2-20-1 | 0294-25-6121 |
| 日立商工会議所 | 日立市幸町1-21-2 | 0294-22-0128 |
| 日立市十王商工会 | ― | 0294-39-2086 |
日立地区産業支援センターは、国の特定産業集積活性化法の指定を受けて整備された中核的支援拠点です。
コワーキング/シェアオフィス
| 施設名 | 所在地 | 特徴 |
|---|---|---|
| micakel(ミカケル) | 日立市大みか町1丁目5-5(大甕駅徒歩2分) | 0294-77-0132 |
| 晴耕雨読(せいこううどく) | 日立市多賀町1丁目12-24(常陸多賀駅徒歩2分) | コワーキング月額11,000円・ドロップイン300円(時間)/1,000円(日)、シェアオフィス月額13,200〜55,000円、会議室1,000円/時間 |
7. 開業手続きの窓口
- 飲食店営業許可・理美容所など食品衛生関連:日立市は保健所設置市ではないため、茨城県日立保健所が食品関係営業の許認可・衛生指導を所管しています。
- 法人市民税:法人税割は資本金等1億円未満で6.0%、その他の法人で8.4%。均等割は資本金1,000万円以下かつ従業者50人以下で年5万円、50人超で年14万4千円です。
- 事業所税:日立市の公式サイトには事業所税に関するページが見当たりませんでした。事業所税は人口30万人以上の都市等が課税団体となる税であり、日立市(人口約15.9万人)は課税団体ではないとみられますが、確定的な確認はできていません。念のため市の窓口へご確認ください。
8. 日立市で創業するときのチャンスとリスク
チャンス
- 製造業従業者数が県内1位 ― 事業所数・従業者数とも減少傾向にあるとはいえ、製造業の集積という産業基盤自体は県内でも他に代えがたい厚みを持っています。部品供給・保守・アウトソーシングなど、ものづくり関連のBtoB需要は今も存在します。
- 昼夜間人口比率106.3 ― 日中は市外から約1.1万人が流入しており、居住人口だけでは測れない需要があります。
- 高齢化率35.0%という「シニア市場の厚み」 ― 訪問系サービス、生活支援、終活関連など、高齢化が先行する街だからこそ成立しやすい業態があります。
- 創業支援の融資枠拡大(1,000万円→1,500万円)と登録免許税半減 ― 4機関連携の「日立創業支援ネットワーク」による特定創業支援等事業の証明取得は、コストとリターンの観点で最初に押さえるべきステップです。
- 駅前の商業環境が「ヒタチエ」で刷新された ― イトーヨーカドー閉店(2022年1月)という空白期間を経て、2023年4月に新施設が開業しています。中心市街地の集客構造が変わったタイミングであり、新規参入の余地を見極める価値があります。
リスク(隠さず書きます)
- 人口減少「数」が県内最大(令和2年比−15,745人、−9.0%)。市場規模そのものが縮小し続けている前提を外すことはできません。
- 年少人口8.8%という極端な低さ ― 子育て・教育関連市場は、他業種以上に厳しい縮小局面にあります。
- 25〜39歳の東京圏への転出超過が構造的 ― 働き盛り世代・子育て世代の流出が続く限り、将来の顧客・働き手の確保は楽観できません。
- 企業城下町ゆえの所得流出構造 ― 内閣府の分析でも「域外に本社機能を持つ事業所の立地による企業所得の流出」が指摘されており、大手取引先の意思決定は市外(多くは日立製作所東京本社など)で行われます。地場だけで完結しないビジネスモデルが必要です。
- 中心市街地の空き店舗率・通行量の公式データが確認できない ― 判断材料が限られる以上、出店前には必ず現地の実地調査を行うべきです。
人口が減り続ける街での創業は、拡大市場を前提にした事業計画とは異なる発想が必要です。高齢化・世帯減少・空き店舗といった「縮小によって生まれる需要」(在宅介護、空き家・空き店舗の活用、事業承継の受け皿など)に目を向けることが、日立市で創業する際の現実的な出発点になります。

