【常総市】創業・起業のための地域データガイド|人口・産業・支援制度でわかるビジネス環境
茨城県西部、鬼怒川と小貝川に挟まれた常総市。2015年9月の鬼怒川決壊という大きな試練を経験した街であり、同時に人口の12%超を外国人住民が占める、県内でも際立った特徴を持つ街です。圏央道常総ICを起点に「アグリサイエンスバレー常総」という新しい商圏も生まれています。人口・産業・支援制度のデータから、創業予定者の視点で常総市を整理しました。
この記事でわかること
- 常総市の人口規模・年齢構成と、そこから読み取れる客層
- 昼間人口・外国人住民比率から見た「他市にはない市場構造」
- 産業構造と、商業・製造業・農業の規模感
- 常総市に本店を置く主要企業=取引先候補
- 創業時に使える補助金・融資・相談窓口の具体的な金額と窓口
1. 常総市の基本プロフィール
| 項目 | データ | 基準時点 |
|---|---|---|
| 人口 | 57,983人(県内16位) | 令和7年国勢調査 速報値 |
| 世帯数 | 22,717世帯 | 同上 |
| 人口増減(令和2年比) | −2,851人(−4.7%) | 同上 |
| 1世帯当たり人員 | 2.55人(県内でも多い部類) | 同上 |
| 面積 | 123.64km² | 令和8年1月1日 |
| 人口密度 | 469.2人/km² | 令和8年4月1日 |
| 高齢化率(65歳以上) | 31.6% | 令和7年10月1日推計 |
| 昼夜間人口比率 | 102.8(流入超過) | 令和2年国勢調査 |
| 外国人住民数 | 7,400人(総人口の約12.4%) | 令和8年7月1日 |
| 1人当たり市町村民所得 | 3,441千円 | 令和5年度 |
2. 人口データで読む常総市
2-1. 人口規模と推移
令和7年国勢調査の速報値で、常総市の人口は57,983人。令和2年から2,851人(−4.7%)の減少で、茨城県全体の減少率(−2.6%)より速いペースです。
過去の国勢調査を追うと、人口のピークは平成17年(66,536人)で、平成22年には65,320人とやや減少しますが、平成27年には61,483人まで一気に3,837人(−5.9%)減っています。これは2015年9月の鬼怒川決壊(後述)の直後に実施された調査であることが大きく影響しています。その後も令和2年60,834人、令和7年57,983人と減少が続いています。
直近の人口動態を見ると、令和6年の自然増減は出生198人・死亡857人で−659人。令和4年でみると自然増減−543人(出生287人・死亡830人)に対し、社会増減(転入−転出)は+48人(転入3,528人・転出3,480人)とわずかにプラスでした。人口減少の主因は自然減であり、転出超過ではないという点は、水害からの人口流出が一段落した後の姿として読み取れます。
創業時の目線:人口減少率は県平均より大きいものの、社会増減はほぼ均衡しています。「人が出ていく街」というより「生まれる数より亡くなる数が多い街」という構造で、これは県内の多くの郊外自治体に共通する課題です。新規参入の余地は、後述する外国人住民層と新しい商圏(アグリサイエンスバレー常総)に見出すのが現実的です。
2-2. 年齢構成 ― 誰が住んでいる街か
令和7年10月1日時点の推計では、年少人口(15歳未満)9.9%、生産年齢人口(15〜64歳)58.5%、老年人口(65歳以上)31.6%。高齢化率31.6%は水戸市(27.9%)より高く、県内でも高齢化が進んだ自治体の一つです。
創業時の目線:高齢化率3割超という数字だけを見ると悲観的に映りますが、生産年齢人口も58.5%を維持しています。介護・訪問診療・生活支援などシニア向けサービスの需要は着実にある一方、後述する工業団地やアグリサイエンスバレーで働く現役世代の需要も並存する二層構造です。
2-3. 世帯構成 ― 単価と客層を決める要素
1世帯当たり人員は2.55人で、県内でも多い部類に入ります(水戸市2.10人など単身・二人世帯化が進む都市部とは対照的)。農業地域特有の多世代同居・ファミリー世帯が一定の厚みを持って残っていることがうかがえます。
創業時の目線:単身向けの少量・個食型の商品設計よりも、家族単位でのまとめ買い・世帯単位のサービス(家族向け飲食、まとめ売りの小売、家事代行など)が水戸市などの都市部より刺さりやすい可能性があります。
2-4. 昼間人口と商圏 ― 流入超過型のまち
令和2年国勢調査では、常総市の昼間人口は62,548人、夜間人口60,834人で、昼夜間人口比率は102.8。人口が減り続けているにもかかわらず、日中は市外から人が流入してくる構造です。首都圏近郊にありがちな「夜は寝るだけのベッドタウン」ではなく、周辺の坂東市・八千代町・下妻市方面などから働きに来る人を受け入れる側の街だということになります。
創業時の目線:昼間人口が夜間人口を上回る自治体は県内でも多くありません。ランチ需要、平日の物販・サービス需要は、居住人口の数字だけで見積もると過小評価になります。逆に夜間・休日型の業態は居住人口ベースで慎重に見積もるべきです。
2-5. 外国人住民 ― 常総市最大の特徴
常総市の最大の特徴は、外国人住民の多さです。外国人住民数は7,400人(令和8年7月1日現在)で、総人口59,859人(日本人52,459人+外国人7,400人)に占める割合は約12.4%。人口5.8万人規模の街で7,400人が外国人という構成は、茨城県内44市町村の中でも突出しており、複数の報道・調査でも常総市は県内で外国人住民比率が最も高い水準にあるとされています。国籍別ではブラジル・フィリピン・ベトナムなど南米系・東南アジア系の住民が多いとみられます(正確な国籍別人数は本記事執筆時点で一次資料から確定できず、掲載を見送っています)。
市も この状況を踏まえ、市役所1階「市民と共に考える課」に11言語対応の外国人総合案内窓口(日本語・ポルトガル語・スペイン語・英語・フィリピノ語・ベトナム語・ネパール語・インドネシア語・韓国語・タイ語・中国語)を設置し、令和6年度からは日本人と外国人の橋渡し役となる「多文化共生推進員」を21人認定しています。
創業時の目線:人口の1割超が外国人という構造は、他市では成立しにくい業態が成立しうる土壌です。多言語対応の食材店・飲食店、在留手続きや住宅探しを支援する生活支援サービス、不動産仲介、人材紹介・技能実習関連サービスなどは、常総市ならではの市場として検討する価値があります。
3. エリア別の特徴 ― どこで開業するかで別のビジネスになる
① 水海道地区(旧水海道市)
鬼怒川の舟運の要衝として発展してきた、市の行政・商業の中心地。市役所本庁舎(水海道諏訪町3222-3)、関東鉄道常総線・水海道駅(1日平均乗降人員2,725人/令和4年度・乗車と降車を合わせた人数)、フードマーケットカスミ水海道栄町店(2015年3月開業)などが立地します。常総市商工会の本拠(水海道事務所)もここにあります。
② 石下地区(旧結城郡石下町)
農業・畜産・織物業を基盤に発展してきた地域で、平将門や歌人・長塚節ゆかりの地としても知られます。関東鉄道常総線・石下駅(1日平均乗降人員800人/令和4年度)を中心とした生活圏で、市の農業産出の中核(米・野菜)を担うエリアです。
③ 圏央道常総IC周辺・アグリサイエンスバレー常総(新興エリア)
この10年で生まれた新しい商圏です。圏央道常総ICは2017年2月26日に開通(境古河IC〜つくば中央IC間の開通に伴うもの)。そのIC周辺約45ha(農地エリア約14ha+都市エリア約30.7ha)を「アグリサイエンスバレー常総」として整備し、食品総合物流施設、大規模施設園芸(ミニトマト栽培、観光農園の空中イチゴ園)、マルチテナント型物流施設、TSUTAYA BOOKSTORE、温浴施設などが順次開業しています。中核施設の道の駅常総は2023年4月28日に開業し、開業1年で来場者200万人を達成(当初想定の2倍のペース)という人気ぶりです。
なお、常総ICの所在地は常総市三坂町です。2015年の鬼怒川決壊は同じ三坂町付近(上三坂)が決壊地点となったことで知られています。新しい商圏が生まれているエリアと、水害の記憶が刻まれたエリアが重なっている点は、次章以降で触れる立地選定の注意点として押さえておく必要があります。
4. 産業構造 ― この街のお金はどこから来るのか
4-1. 産業別の就業者構成
令和2年国勢調査ベースで、第1次産業4.92%、第2次産業38.54%、第3次産業56.54%。水戸市(第2次18.65%)やつくば市のような第3次産業偏重の都市とは対照的に、製造業を中心とした第2次産業の比率が県内でも高い水準にあります。
4-2. 事業所数と従業者数
本記事の執筆にあたり、経済センサスの市町村別集計を一次資料として確認しましたが、常総市分については試行のたびに数値が食い違う不安定な状態が確認されたため、事業所数・従業者数の具体的な数字は今回掲載を見送ります。工業団地の立地企業数など、把握できた範囲のデータは次項に記載します。
4-3. 商業(卸売・小売)の市場規模
茨城県「市町村のデータ」による年間商品販売額は、常総市1,162億円(令和2年)です。近隣・比較対象の市町村と並べると次のとおりです。
| 市町村 | 年間商品販売額(令和2年) |
|---|---|
| 水戸市 | 15,687億円 |
| つくば市 | 5,907億円 |
| 土浦市 | 5,087億円 |
| 古河市 | 2,445億円 |
| 筑西市 | 1,876億円 |
| 取手市 | 1,302億円 |
| 常総市 | 1,162億円 |
| 龍ケ崎市 | 1,087億円 |
| 守谷市 | 1,028億円 |
| 坂東市 | 766億円 |
| つくばみらい市 | 732億円 |
県西地域の中では古河市・筑西市に次ぐ規模で、隣接する坂東市・つくばみらい市よりは大きい水準です。
創業時の目線:商業規模は水戸市の10分の1以下、つくば市の5分の1程度ですが、県西エリアの中では中位クラスの市場を持っています。道の駅常総の年間200万人という来場実績は、既存の年間商品販売額の数字にはまだ十分反映されていない「伸びしろ」であり、飲食・物販の新規参入余地として注目に値します。
4-4. 製造業・農業 ― 地域の基幹産業
製造業:製造品出荷額等は4,857億円(令和5年・従業員4人以上事業所)。近年はR3年4,922億円→R4年5,134億円→R5年4,857億円と5,000億円前後で推移しています。市内には大生郷工業団地(総面積68.6ha、立地企業約30社)があり、稲畑香料関東工場、SMC株式会社、日本ファイリング株式会社茨城工場、ネグロス電工株式会社、株式会社立川製鑵など、香料・化学、精密機械、電設資材、金属製品といった分野の企業(一部は本社が市外の進出企業)が集積しています。このほか内守谷工業団地、坂手工業団地、花島工業団地も市内にあります。
農業:市の土地利用は農地が49.5%(令和6年1月1日現在)を占め、米・野菜(メロン・レタスなど)を中心とした農業が盛んです。具体的な農業産出額については、本記事執筆時点で参照した資料の単位表記に疑義が残ったため、金額の掲載は見送ります。
創業時の目線:第2次産業比率38.54%という数字が示すとおり、常総市は消費者向け(BtoC)だけでなく、工業団地に立地する製造業を取引先とするBtoB需要が根強く存在します。資材・部品供給、物流、外国人材が多い職場向けの多言語対応サービスなど、製造業クラスターを前提にした事業設計が可能です。
5. 常総市を代表する企業 ― 取引先候補として
常総市に本店を置くとみられる企業です。所在地は法人データベース(Baseconnect)経由で確認した情報であり、登記情報を直接照合したものではない点にご留意ください。開業前の取引検討時は、各社の最新の登記情報を別途ご確認ください。
| 企業名 | 業種 | 本店所在地 | 資本金 |
|---|---|---|---|
| 株式会社菓道 | 食品(スナック菓子) | 常総市古間木1503番地の3 | 記載なし |
| リスカ株式会社 | 食品(ラムネ菓子) | 常総市蔵持900番地 | 1,500万円 |
| 株式会社全農ハイパック | 食品包装資材(JA全農グループ) | 常総市内守谷町4365番地1 | 1億円 |
| 株式会社マスダ | 小売(地域スーパーマーケットチェーン) | 常総市水海道宝町2771番地 | 9,500万円 |
| 株式会社くらもち | 食品 | 常総市菅生町683番地1 | 3,000万円 |
| 株式会社新東 | 製造業 | 常総市岡田573番地 | 8,000万円 |
| 高尾工業株式会社 | 製造業 | 常総市杉山1166番地 | 7,150万円 |
進出企業(本社は市外、市内は工場等の大規模事業所):SMC株式会社 大生郷工場、稲畑香料株式会社 関東工場、日本ファイリング株式会社 茨城工場、ネグロス電工株式会社など。いずれも大生郷工業団地に立地していますが、本店所在地は市外です。
創業時の目線:食品メーカーが目立つ点は、常総市の農業基盤と結びついた特徴です。マスダのような地域スーパーは、地場産品の卸先・仕入先として現実的な営業対象になります。工業団地の進出企業は本社機能を持たないため、BtoB営業は「工場・事業所の購買担当」を窓口とする前提で考える必要があります。
6. 創業支援制度とお金の話
6-1. 特定創業支援等事業 ― まず最初に取るべき証明
常総市は産業競争力強化法に基づく創業支援等事業計画の認定を受けており、指定の相談・セミナーを受けて証明を取得すると、全国共通の制度として以下の優遇が受けられます。
| 優遇内容 | 具体的な効果 |
|---|---|
| 登録免許税の軽減 | 税率0.7%→0.35%(株式会社設立の場合、下限15万円→7.5万円) |
| 創業関連保証の特例 | 無担保・第三者保証人不要の保証を、通常より前倒しで利用可 |
| 日本政策金融公庫 | 新規開業資金等の貸付利率引き下げ |
主な実施機関:常総市商工会、日本政策金融公庫、茨城県信用保証協会。ワンストップ相談窓口の設置、創業支援セミナー、個別相談、制度融資(保証料補助)、創業後のフォローアップ支援が行われています(中小企業庁認定資料に基づく)。市独自の登録免許税軽減以外の優遇措置(例:市税の減免等)については、本記事執筆時点で確認できていません。
窓口:常総市役所 商工観光課(〒303-8501 常総市水海道諏訪町3222-3・本庁舎2階)直通0297-23-9088、代表0297-23-2111。常総市商工会 水海道事務所0297-22-2121、石下事務所0297-42-3155。
6-2. 常総市独自の補助金
| 制度名 | 上限額 | 補助率 | 令和8年度の状況 |
|---|---|---|---|
| 常総市創業・新事業展開支援補助金交付制度 | 10万円 | 1/2 | 令和8年度の募集状況は本記事執筆時点で確認できていません。対象経費は改修費・設備購入費・借料・広告費等。市内での創業(申請年度内または創業後1年以内)、市内への事業所設置、市税滞納がないことなどが要件です。 |
補助上限10万円は、水戸市の創業期支援補助金(1回目10万円・累計最大17.5万円)などと比べても小規模な水準です。申請前に必ず商工観光課で最新の募集状況をご確認ください。
6-3. 融資 ― 中小企業事業資金融資あっせん制度
常総市中小企業事業資金融資あっせん条例に基づく制度です。
| 制度 | 限度額 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 振興金融 | 2,000万円 | 返済期間7年以内。市が保証協会への損失額の1/2を補償 |
| 自治金融 | 1,000万円(特別小口保証の場合500万円) | 同上 |
条例上、具体的な金利や保証料補助率、利子補給の規定は確認できませんでした(別途規則・予算措置で定められている可能性があります)。開業前後の資金調達では、この制度に加えて日本政策金融公庫や茨城県の創業支援融資も選択肢として検討することをおすすめします。
6-4. 相談窓口・コワーキング
| 窓口 | 所在地 | 連絡先 |
|---|---|---|
| 常総市商工会 水海道事務所 | 常総市内 | 0297-22-2121 |
| 常総市商工会 石下事務所 | 常総市内 | 0297-42-3155 |
| 常総市役所 商工観光課 | 常総市水海道諏訪町3222-3 | 0297-23-9088(直通) |
コワーキング:市内で確認できたのは「スタジオ華(常総まるごとコワーキングスペース)」(常総市豊岡町町丙1583番地1)のみです。旧酒屋をリノベーションした施設で、料金は2時間550円・以降10分55円(1日上限1,980円)、営業時間8:30〜18:00、事前予約制。なお茨城県公式のコワーキングスペース・シェアオフィスガイド(県内31施設掲載)には常総市内の施設は掲載されておらず、法人登記可能な大型のインキュベーション施設は今回確認できませんでした。
7. 開業手続きの窓口
- 飲食店営業許可など食品衛生関連:常総市は保健所設置市ではないため、県のつくば保健所(常総市・つくば市・つくばみらい市を管轄)が窓口です。所在地は〒305-0035 つくば市松代4丁目27、電話029-851-9287(代表)。営業許可・食品衛生監視は監視指導課(029-860-6001)が担当します。
- 法人市民税:法人税割は8.4%で、標準税率6.0%ではなく制限税率(超過課税)を一律に採用しています(常総市税条例第34条の4)。均等割は資本金1,000万円以下・従業者50人以下の区分で年額50,000円です。県内では8.4%を採用する自治体(水戸市・取手市・筑西市・大洗町・笠間市・守谷市・石岡市・龍ケ崎市など)が多い一方、牛久市・神栖市・鹿嶋市は標準税率6.0%を採用しており、自治体によって差があります。
- 事業所税:事業所税は人口30万人以上の指定都市等が課税団体となる制度であり、常総市(人口約5.8万人)は課税団体に該当しません。
8. 常総市で創業するときのチャンスとリスク
チャンス
- 外国人住民比率12.4%は県内でも突出した水準 ― 人口5.8万人の街で7,400人が外国人という構造は、44市町村のどこにもない特徴です。多言語対応の食材店・飲食・生活支援・不動産仲介・人材紹介など、他市では成立しにくい業態が成立しうる土壌があります。市も11言語対応の外国人総合案内窓口と多文化共生推進員21人(令和6年度)を配置しています。
- 昼夜間人口比率102.8の流入超過型 ― 人口は減っていても、日中は市外から働きに来る人がいる街です。ベッドタウンとは異なる需要構造を前提にできます。
- アグリサイエンスバレー常総と道の駅常総という新しい商圏 ― 圏央道常総IC(2017年2月26日開通)に隣接する約45haのエリアに、物流・農業・商業施設が集積しつつあります。道の駅常総は開業1年で来場者200万人(想定の2倍ペース)という実績があり、周辺の飲食・物販需要は今後も伸びる可能性があります。
- 第2次産業38.54%、大生郷工業団地(68.6ha・約30社)を核としたBtoB市場 ― 製造業への部材供給・物流・保守サービスなど、消費者向けとは別の需要があります。
- 企業立地奨励金(固定資産税相当額を年2,000万円上限・3年度分交付)と雇用拡大奨励金(新規雇用1人10万円、市外転入者1人15万円、上限500万円) ― 一定規模の投資・雇用を伴う事業には具体的なインセンティブが用意されています。
リスク
- 2015年9月の鬼怒川決壊・常総水害は避けて通れない事実です。死者14名(直接死2名・災害関連死12名)、全半壊家屋5,000棟以上という被害を出し、水害後1年間で人口が800人以上減少、約50の商工業者が廃業しました。1年後も79世帯197人が仮住まいを続けていたという記録もあります。現在人気の高いアグリサイエンスバレー常総が立地する常総IC周辺(三坂町)は、決壊地点だった上三坂に近いエリアです。常総市で立地を選ぶ際は、他市以上にハザードマップと浸水想定区域の確認を実務プロセスに組み込むことを強くおすすめします。
- 人口減少率−4.7%は県平均(−2.6%)より大きく、高齢化率も31.6%と高水準です。自然減が主因であり、短期間での反転は見込みにくい構造です。
- 常総市創業・新事業展開支援補助金の上限は10万円と、近隣他市の補助制度と比べて小規模です。しかも令和8年度の募集状況は本記事執筆時点で確認できていません。補助金をあてにした資金計画は避け、申請前に必ず商工観光課で最新情報を確認してください。
- 商業規模(年間商品販売額1,162億円)は水戸市・つくば市の数分の一から十分の一以下で、大規模な小売・卸需要を前提にした事業計画には不向きです。
総じて、常総市での創業は「県内トップクラスの外国人住民比率」「アグリサイエンスバレーという新しい商圏」「厚みのある製造業基盤」という独自の強みを生かせるかどうかが鍵になります。同時に、水害の記憶と人口減少という現実的なリスクを、開業前の立地選定・資金計画に正直に織り込むことが欠かせません。
データ出典
- 令和7年国勢調査 人口速報集計結果(茨城県)(2026年5月29日公表)
- 市町村のデータ(常総市)/茨城県
- 令和2年国勢調査 従業地・通学地集計(表-4)/茨城県
- 常総市の人口・世帯数/常総市公式ホームページ
- 常総市統計書「人口動態」/常総市公式ホームページ
- 市の概要/常総市公式ホームページ
- 平成27年9月関東・東北豪雨/Wikipedia
- 常総インターチェンジ/Wikipedia
- 圏央道常総インターチェンジ周辺地域整備事業(アグリサイエンスバレー構想)/常総市公式ホームページ
- 道の駅常総 来場者数データ/常総市公式ホームページ
- 大生郷工業団地/常総市公式ホームページ
- 常総市中小企業事業資金融資あっせん条例/茨城県法規集データベース
- 常総市税条例/茨城県法規集データベース
- 常総市 創業支援等事業計画/中小企業庁
- 常総市企業立地奨励金制度/常総市公式ホームページ
- つくば保健所/茨城県公式ホームページ
- 多文化共生と多文化共生推進員について/常総市公式ホームページ
- 外国人総合案内/常総市公式ホームページ
免責:補助金・融資制度は年度ごとに内容や募集状況が変わります。申請前に必ず各窓口(常総市役所 商工観光課 0297-23-9088 ほか)で最新情報をご確認ください。企業情報(本店所在地・資本金)は法人データベース等の二次情報源に基づくものを含み、登記情報の最終確認は各自でお願いします。本記事の数値は2026年7月31日時点で公表されていたデータに基づいています。

