【小売り・飲食業】レシートを失くした顧客からの再交付依頼にどう対応する?

小売業や飲食店を経営していると、
「レシートを失くしてしまったので再発行してほしい」
とお客様から依頼を受けるケースがあります
このような場合でも、事業者として「レシートor領収書」を発行し直さなければならないのでしょうか?
この記事では、以下の3つのポイントについてわかりやすく解説します!
「レシート再交付依頼」には応じる必要がある?

【結論】再交付は原則不要
お客さんから「レシートを失くしたので再発行してほしい」と依頼を受けた場合、
販売時点でレシート(適格簡易請求書)を渡していれば、その時点で交付義務は果たしているため、再交付は原則不要です。
- 適格簡易請求書とは(タップして開く)
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主に 小売業・飲食業・運送業・入場料収受業 など、不特定多数の顧客に対して販売を行う業種 が交付できるものです。((消費税法57条の4②、)
通常の「適格請求書(インボイス)」に比べ、記載事項が一部省略されており、レシートや入場券などでも対応できるのが特徴です。
ただし「一度も交付していない」場合は交付義務あり
販売時にそもそもレシートを渡していなかった場合は、例外的に対応が必要です。
- 顧客から具体的な取引記録が示された場合
- 本来交付すべき適格請求書を発行していなかった場合
この場合には、後日であっても手書きや別形式で交付する義務があります。
レジシステムの仕様で一定期間を過ぎると再発行できないのは問題ない?
法律的には追加の義務はなし
一定期間を過ぎるとレシートデータを保持できなくなり、再発行ができない場合は事業者の対応として問題がないのか?
- なぜ、データを保存しておける期間に制限があるのか?
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実務においては、取引量が膨大・データ容量に制限があること等から、過去の取引データを全て保持出来るわけではありません。
また、個人情報が含まれる可能性のあるデータについては、適時に不要なデータは削除することがデータセキュリティの観点では重要です。
結論としては、データがないため再交付できないことは法律的に問題ありません。
(ただし、後述の通り7年間はデータの保存が必要となるため、レジシステム以外の環境において別途保存が必要です)
販売時点で交付義務を果たしていれば、それ以上の追加義務は生じないからです。
システム仕様としては問題なし
むしろ「一定期間を過ぎると再発行できない」と周知しておくことは、顧客とのトラブル防止につながります。

社内マニュアルや店頭掲示に以下のように書いておくと安心です。
- 販売時に交付したレシートで交付義務は完了
- システムの仕様上、一定期間を過ぎると再発行できない
- 再交付できないことを事前に顧客へ周知する
レジのデータとしては必要な期間を経過した後にデータが保存されていなくても問題はありませんが、会計システムや所定のフォルダー内に電子データとして一定の期間は保存が必要となります

消費税の課税事業者が仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等や、適格請求書発行事業者として交付した適格請求書の写し及び提供した電磁的記録については、7年間保存する必要があります。
国税庁HPより一部抜粋
手書き対応が必要になるケース
レシート・領収書の再交付が基本的には不要とは言っても、例外的に交付をしなければいけないケースが存在します。
未交付だった場合
もし「販売時に一度もレシートを交付していなかった」ことが判明した場合は、後日でも交付する必要があります。
ただし、後日交付する時には以下の点について留意するようにしましょう
- 顧客が取引事実を確認できる記録(振込明細など)を提示していること
- 店舗側も保存している領収書控えを確認して取引事実をがあったことを確かめる
まとめ
- 小売・飲食業で顧客がレシートを失くしても、販売時に渡していれば再交付義務はない
- レジシステムが「一定期間を過ぎると再発行できない」仕様でも、法律上は問題なし(ただし、7年間は何らかの形でデータを保存をしなければならない)
- 一度も交付していなかった場合だけ例外として、手書きなどで交付対応が必要