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基礎・制度

【2025年最新】所得税の計算方法と「年収160万円の壁」税金ゼロでも手取りが減る?

佐藤
Contents
  1. 1. 【基礎】所得税はどう決まる? 3ステップ計算と最新速算表
  2. 2. 令和7年(2025年)税制改正の全貌|「103万円の壁」はなぜ「160万円」になったのか
  3. 3. 【重要】「税金ゼロ」でも「手取り」は減る?社会保険の壁(130万円)
  4. 4. 大学生の親は要注意!新設「特定親族特別控除」で世帯手取りはどうなる?
  5. 5. 2025年と2026年でルールが違う?過渡期の混乱を防ぐ
  6. 6. 会社員・個人事業主別|申告・納税のポイントと確定申告が必要なケース

1. 【基礎】所得税はどう決まる? 3ステップ計算と最新速算表

「給与明細の『所得税』の欄、どうやってこの金額が決まっているんだろう?」 そう疑問に思ったことはありませんか?

実は、所得税は「年収」そのものにかかるわけではありません。

所得税の計算は、「引いて(控除)、引いて(控除)、最後に掛ける(税率)」という3つのステップで進みます。

この仕組みさえ分かれば、2025年の改正で話題の「103万円の壁」が「160万円」に変わった理由も、すっきりと理解できます。

スマホ片手に、ご自身の源泉徴収票や給与明細を見ながら確認してみてください。

ステップ1:年収から「給与所得控除」を引いて「給与所得」を出す

最初のステップは、額面の年収(収入)から、「サラリーマンの必要経費」にあたる「給与所得控除」を差し引く作業です。

自営業者が経費を引けるように、会社員にも「スーツ代や仕事の準備にかかる概算経費」として、無条件で引ける金額が決まっています。これを引いた残りが「給与所得」です。

【計算式】

年収(支給総額) - 給与所得控除 = 給与所得

【2025年(令和7年)からの変更点】 ここが今年最大のポイントです。物価高などに対応するため、この「見なし経費」の最低額が引き上げられました。

年収(給与収入)給与所得控除額(2025年分〜)改正前との違い
190万円以下一律 65万円+10万円アップ
190万円超 〜 360万円以下収入 × 30% + 8万円
ポイント

多くの方が「年収」と「所得」を混同しがちですが、税金の世界では全く別物です。 「年収160万円」のパートの方であれば、ここから65万円を引いた「95万円」が給与所得となります。まずこの「95万円」という数字を確定させることが、計算のスタートラインです。

ステップ2:「所得控除」を引いて「課税所得」を確定させる

次に、個人の事情(養う家族がいる、社会保険を払っているなど)を考慮して、さらに金額を差し引きます。

これを「所得控除」と呼びます。

ここを引いて残った金額が、最終的に税率を掛ける対象となる「課税所得」です。

【計算式】

給与所得 - 各種所得控除 = 課税所得(千円未満切り捨て)

所得控除の種類

主な所得控除には以下のようなものがあります。

  • 社会保険料控除: 支払った健康保険や厚生年金の全額。
  • 配偶者(特別)控除: 配偶者の収入に応じて適用。
  • 基礎控除(重要): 誰でも受けられる控除。2025年から大幅に増額されました。

【2025年版 基礎控除の仕組み】 従来は一律48万円でしたが、2025年からは所得に応じて控除額が変わります。

あなたの合計所得金額2025年の基礎控除額
132万円以下95万円 (以前より47万円増!)
132万円超 〜 336万円以下88万円
336万円超 〜 489万円以下68万円
160万円の壁のカラクリ

ニュースで聞く「年収160万円まで非課税」の根拠はここにあります。 ステップ1の「給与所得控除 65万円」と、ステップ2の「基礎控除 95万円」。この2つを足すと160万円になります。

つまり、年収160万円までなら、ここまでの引き算だけで課税対象がゼロになるため、税金が発生しないのです。

ステップ3:【保存版】速算表で税額を算出(×税率-控除額)

課税所得(ステップ2で出した金額)がプラスになった場合、いよいよ税額を計算します。

日本の所得税は「超過累進税率」といって、稼げば稼ぐほど税率が階段状に上がる仕組みとなっており、以下の「速算表」を使えば一発で計算できます。

【計算式】

課税所得 × 税率 - 控除額 = 所得税額

【2025年分 所得税の速算表】

課税される所得金額(A)税率(B)控除額(C)
1,000円 〜 194.9万円5%0円
195万円 〜 329.9万円10%97,500円
330万円 〜 694.9万円20%427,500円
695万円 〜 899.9万円23%636,000円
900万円 〜 1,799.9万円33%1,536,000円
1,800万円 〜40%〜(以降省略)
▼具体的な計算シミュレーション▼

例えば、「課税所得」が 300万円 になった場合で計算してみましょう。

1. 表を見ると、300万円は「195万円〜329.9万円」の行に該当します。

2. 税率は10%、控除額は97,500円です。

3. 3,000,000円 × 10% - 97,500円 = 202,500円

これが、本来納めるべき所得税額(ベース)となります。

忘れがちな「復興特別所得税」と「税額控除」

計算はこれで終わりではありません。最後に2つの調整が入ります。

ポイント

1. 復興特別所得税の加算 算出された所得税額に、2.1% が上乗せされます(2037年まで)。

   先ほどの202,500円の例なら:202,500×102.1%=206,700円(100円未満切り捨て)

2. 税額控除(ここが最強の節税!) 「住宅ローン控除」や「配当控除」などがある場合、計算された税額から直接差し引くことができます。

所得から引く「所得控除」よりも、税金そのものから引く「税額控除」の方が、節税効果は圧倒的に大きくなります。

計算の落とし穴

多くの人が「速算表の控除額(C)」と「所得控除(ステップ2)」を混同してしまいます。 速算表の控除額(例:97,500円)は、税率計算を簡単にするための単なる調整数字です。

年末調整などで申告して引いてもらう「所得控除(生命保険料控除など)」とは別物ですので、計算順序を間違えないように注意しましょう。

2. 令和7年(2025年)税制改正の全貌|「103万円の壁」はなぜ「160万円」になったのか

長年、パートやアルバイトで働く人の常識だった「103万円の壁」。

これが2025年(令和7年)から崩壊し、「160万円の壁」へと歴史的な転換を遂げました

なぜ一気に57万円も枠が広がったのか?

その理由は、税金を計算する際の「2つの控除」が同時に引き上げられたことにあります。

基礎控除が最大95万円に!複雑化した控除額の仕組み

まず変わったのが、すべての納税者が無条件で差し引ける「基礎控除」です。

これまでは一律「48万円」でしたが、物価高への対応として、年収が低い層に対して大幅な増額が行われました。

ただし、全員が一律ではなく、「稼ぐ人ほど控除が減る」という少し複雑な仕組みになっています。

【2025年分からの基礎控除額】

あなたの合計所得金額2025年の基礎控除額以前との差
132万円以下95万円+47万円
132万円超 〜 336万円以下88万円+40万円
336万円超 〜 489万円以下68万円+20万円

ほとんどのパート・アルバイトの方は一番上の「所得132万円以下」に当てはまるため、これまでより47万円も多く収入から差し引けるようになりました。

実務での注意点

これまで年末調整の書類(基礎控除申告書)は「とりあえず48万円」と機械的に記入していた方も多いはずです。

しかし、2025年からは、ご自身の所得区分によって「95万円」「88万円」など記入額が変わります。

書き間違いが多発すると予想されるため、会社から配られる申告書の記入ガイドを例年以上にしっかり確認してください。

給与所得控除は最低65万円へ引き上げ

次に変わったのが、会社員の必要経費にあたる「給与所得控除」です。

これまでは、年収162.5万円以下の人は一律「55万円」でしたが、これが「65万円」に引き上げられました。

【2025年分からの給与所得控除(最低保障額)】

  • 改正前:55万円
  • 改正後:65万円 (+10万円アップ)

こちらはシンプルに、最低ラインが底上げされた形です。

【図解】95万円(基礎)+65万円(給与)=160万円が新しい非課税ライン

ここまでの2つの改正を組み合わせると、「160万円」という新しい数字が見えてきます。

所得税がかかり始めるボーダーラインは、以下の足し算で決まります。

【新しい非課税ラインの計算式】

基礎控除 95万円 (改正で大幅増) 給与所得控除 65万円 (改正で微増) = 160万円

つまり、年収160万円までは「収入 - 控除 = 0円(またはマイナス)」となるため、所得税が一切かからないのです。

これまで「103万円(基礎48万+給与55万)」を超えないようにシフト調整していた方は、これからは「160万円」まで所得税を気にせず働けるようになります。

数字の裏にある「落とし穴」

「やった!160万円まで働ける!」と喜ぶのは少し早計です。 確かに所得税は160万円までかかりませんが、社会保険(健康保険・厚生年金)の壁は「130万円(または106万円)」のままです。

多くの人が誤解しやすいのですが、「税金の壁(160万)」と「社会保険の壁(130万)」がズレてしまったことで、130万円〜160万円の間は「税金はゼロだけど社会保険料で手取りがガクンと減る」という、非常に判断が難しいゾーンが生まれてしまいました。

次の章では、この「手取り逆転現象」について、具体的な数字でシミュレーションします。

ここを理解せずにシフトを増やすと、働き損になる可能性が高いので要注意です。

3. 【重要】「税金ゼロ」でも「手取り」は減る?社会保険の壁(130万円)

「年収160万円まで税金がかからないなら、今年はもっとシフトを増やそう!」 そう考えている方は、少し待ってください。

ここが今回の改正で気を付けたいポイントです。

所得税がゼロになっても、「社会保険料」という別の大きな負担が発生することで、逆に手取りが減ってしまう「逆転現象(働き損)」が起こる可能性があります。

所得税はかからないが社会保険料がかかるゾーン(130万~160万)

これまでの常識では、「税金の壁(103万)」と「社会保険の壁(130万)」には距離がありました。

しかし、今回の改正で税金の壁が「160万円」に移動したことで、以下のような「ねじれ」が生じています。

  • 年収130万円未満: 税金も社会保険料もかからない(扶養内)
  • 年収130万円〜160万円: 所得税は0円だが、社会保険料(約20万円〜)が発生する
  • 年収160万円超: 所得税も社会保険料もかかる

「160万円までは所得税がかからない」というのは事実ですが、「130万円を超えると社会保険料の支払いが必ず発生する」という事実は変わりません。

つまり、130万円から160万円の間は、「稼いだ分以上に、保険料として給料から天引きされる金額が増える」ため、働けば働くほど手取りが減りやすい「魔のゾーン」となってしまうのです。

社会保険料の重さ

所得税率は最低5%からですが、社会保険料(健康保険+厚生年金)の本人負担分は、給料の約15%にも及びます。

税金が数千円安くなったとしても、社会保険料で数十万円引かれてしまっては、家計へのダメージは甚大です。

従って「税金」よりも「社会保険」を基準に働き方を考えるのがベターと言えそうです。

【シミュレーション】年収129万円 vs 150万円 vs 170万円。手取りが一番多いのはどこ?

では、実際にどれくらい手取りが変わるのか、概算で比較してみましょう。 (※お住まいの地域や年齢により金額は前後します)

Aさん:年収129万円
  • 年収: 129万円
  • 所得税:0円
  • 社会保険料:0円(扶養内)
  • 手取り:約129万円

    ほぼ稼いだ分がそのまま手元に残ります。

Bさん:年収150万円
  • 年収: 150万円
  • 所得税:0円(160万円以下なので非課税)
  • 社会保険料:約23万円(年収の約15%と仮定)
  • 手取り:約127万円

    【衝撃】年収は21万円増えたのに、手取りはAさんより2万円減ってしまいました。これが「働き損」です。

Cさん:年収175万円
  • 年収: 175万円
  • 所得税:約7,500円(160万超の部分に課税)
  • 社会保険料:約27万円
  • 手取り:約147万円

    ようやくAさんの手取りを超え、働くメリットが出てきます。

働き損を防ぐための「損益分岐点」の見極め方

この逆転現象を防ぐために、上記の例をもとに、どうすべきかを考えます。

1. 「130万円」を超えるなら、覚悟を決めて「170万円以上」を目指す

中途半端に140万〜150万円稼ぐのが一番損をします。130万円を超えるのであれば、社会保険料を払っても手取りが回復する「年収170万円前後」を最低ラインの目標に設定してください。

時給1,100円の場合、年間で約200時間(月16時間程度)労働時間を増やす必要があります。

2. 会社の「106万円の壁」適用有無を確認する

従業員51人以上の企業で週20時間以上働く場合、130万円ではなく「106万円」から社会保険加入になるケースが増えています。

ご自身の職場がこの対象かどうか、会社の担当者に必ず確認してください。対象の場合、「働き損」が発生するスタートラインが早まります。

3. 「将来の年金が増える」メリットも加味する

目先の手取りは減りますが、社会保険に加入することで「将来受け取る厚生年金が増える」「傷病手当金がもらえる」というメリットもあります。

「働き損」と呼びますが、完全に捨て金になるわけではありません。ご自身のキャリアプランや老後資金も含めて、総合的に判断しましょう。

まとめ

扶養内にこだわりたい人: 所得税の壁(160万)は無視して、これまで通り「130万円(または106万円)」を超えないようにシフト管理を徹底する。

バリバリ稼ぎたい人: 中途半端な調整はやめて、「170万円以上」を目指してシフトを最大限に入れる。所得税がかかっても、手取り総額は増えます。

4. 大学生の親は要注意!新設「特定親族特別控除」で世帯手取りはどうなる?

大学生や専門学生のお子さんを持つ親御さんにとって、

「子供のバイト年収が103万円を超えて、親の税金が跳ね上がった(扶養が外れた)」

、という失敗はよくある悩みでした。

2025年の改正では、この「親の税金の壁」にも革命的な変化が起きています。

結論から言うと、子供が年収103万円を超えても、親の税金はすぐには増えません。

新設された「特定親族特別控除」の仕組みを正しく理解して、親子で損のない戦略を立てましょう。

19歳~23歳未満の子供がいる家庭の「減税」チャンス

これまで、19歳〜23歳未満の子供(特定扶養親族)がいる場合、子供の年収が103万円を超えた瞬間に、親の所得から引ける「63万円」の控除が消滅していました。

これにより、親の手取りが年間10万円以上減ることも珍しくありませんでした。

しかし、2025年からは「いきなりゼロにはならない」仕組みに変わります。

  1. 年収約123万円まで: 従来の「扶養控除」が適用(控除額63万円)。
  2. 年収約123万円〜約150万円: 新設された「特定親族特別控除」が適用。(控除額は満額(63万円)のまま変わりません。)
  3. 年収約150万円〜約188万円: 収入が増えるにつれて、親の控除額が段階的に減っていきます。

つまり、これまで「103万円」で止めていたバイト代を、「150万円」まで増やしても、親の税負担は変わらない(増えない)ということになります。

【早見表】子供のバイト年収別・親の控除額シミュレーション

子供がいくら稼ぐと、親の控除額がどう減るのか。複雑な計算式をバイトの「年収(額面)」に換算して整理しました。

【親が受けられる控除額の推移(特定親族 19-23歳の場合)】

子供のバイト年収(目安)親の控除額判定
〜 約123万円63万円(満額)変化なし
約123万円超 〜 150万円63万円(満額)セーフ!
約150万円超 〜 155万円61万円微減
約155万円超 〜 160万円51万円減額
約160万円超 〜 165万円41万円減額
約185万円超 〜 188万円3万円ほぼ消滅
約188万円超 〜0円消滅
世帯全体での戦略

これまで「親に迷惑がかかるから」とシフトを削っていた学生にとっては朗報です。

年収150万円までは、子供の手取りが増え(160万まで所得税ゼロ)、かつ親の税金も増えません。

ただし、上述した通り、子供自身に「社会保険料(約20万円〜)」の負担が発生する点には注意が必要です。

「親の税金」だけを気にするなら150万円までOKですが、「世帯の手取り」を最大化するには、社会保険料も含めた計算が必須です。

会社への提出書類「特定親族特別控除申告書」の注意点

この新制度を利用するためには、親御さんが勤務先の年末調整で新しい書類を提出する必要があります。ここに実務上の大きな落とし穴があります。

落とし穴:子供の「見積もり年収」を間違えると後が怖い

新設される「給与所得者の特定親族特別控除申告書」には、「子供のその年の合計所得金額(見積額)」を記載しなければなりません。

もし、子供が「今年は150万円くらいかな」と言っていたのに、頑張りすぎて160万円稼いでしまった場合、親の控除額は「63万円」から「41万円」に激減します。

この場合、後から年末調整のやり直しや、確定申告での修正が必要になり、親の会社での事務手続きが面倒なことになります。

今すぐやるべきアクション
  1. 親子会議を開く: 「今年はいくら稼ぐ予定か」「150万円を超えそうか」を今のうちに話し合ってください。
  2. 給与明細の共有: 子供任せにせず、親も子供のバイトの給与明細(またはアプリの画面)を定期的に確認し、ペース配分を管理することを強くお勧めします。
  3. 「150万円」を新しい防衛ラインにする: 親の税金を絶対に増やしたくない場合は、余裕を持って「145万円程度」で寸止めするのが安全策です。

5. 2025年と2026年でルールが違う?過渡期の混乱を防ぐ

「ニュースでは『178万円』って聞いたけど、この記事では『160万円』って書いてある……どっちが本当なの?」

この混乱の原因は、今回の税制改正が2段階で行われることにあります。

今はまだ「過渡期」です。うっかり来年のルールで今年の収入計画を組んでしまうと、思わぬ税金がかかる可能性があります。

ここでは、今年(2025年)と来年(2026年)の違いを整理し、今どう動くべきかのロードマップを示します。

2025年は「160万円」、2026年は「178万円」へ再拡大

結論から言うと、2025年の壁は「160万円」、その翌年2026年から「178万円」にさらに枠が広がります。

控除額は以下のように段階的に引き上げられる計画となっています。

【年収の壁・拡大ロードマップ】

対象年(1月〜12月)所得税がかからない年収の壁内訳(基礎控除 + 給与所得控除)
2024年(昨年)103万円48万円 + 55万円
2025年(今年)160万円95万円 + 65万円
2026年(来年)178万円104万円 + 74万円

今年の年末調整(2025年12月実施)では、真ん中の「160万円」が基準になります。

「178万円まで大丈夫」という情報は、あくまで2026年1月以降の収入から適用される話です。2025年中に178万円稼いでしまった場合、18万円オーバーとなり所得税が発生しますので注意してください。

アドバイス

給与計算の現場でも、この「2段階変更」は非常に混乱を招いています。 特に注意が必要なのは、給与の「支払日」です。

もし、2025年12月分の給与が「2026年1月払い」の場合、その分は新しい「178万円の壁(2026年分)」に含まれます。

ご自身の会社の給与カレンダーを確認し、「今年の年収」がどこまでかを正確に把握しましょう。

6. 会社員・個人事業主別|申告・納税のポイントと確定申告が必要なケース

「自分は会社員だから年末調整だけで大丈夫」と思っていませんか? あるいは、「個人事業主だけど、今年の改正で申告方法が変わるの?」と不安になっていませんか?

2025年の税制改正は、計算ロジックに大きな変更をもたらしました。立場別に、「絶対にやらなければならないこと」と「やるとお金が戻ってくること」を整理します。

会社員:年末調整で完結する人、確定申告で「得する」人

基本的に、会社員やパート・アルバイトの方は、勤務先が行う「年末調整」で納税が完了します。

しかし、以下の「義務があるケース」と「メリットがあるケース」に該当する場合は、自分で税務署に申告する必要があります。

1. 【義務】確定申告を「しなければならない」人

これを放置すると「無申告」扱いになり、延滞税などのペナルティが発生する可能性があります。

  1. 給与年収が2,000万円を超える人
  2. 副業の所得(収入-経費)が年間20万円を超える人
  3. 2か所以上の会社から給料をもらっている人(サブの勤務先で年末調整をしていない場合)
  4. 同族会社の役員などで、会社から貸付金の利子や家賃を受け取っている人
副業20万円の落とし穴

よくある誤解ですが、「副業が20万円以下なら何もしなくていい」わけではありません。 所得税の申告は免除されますが、「住民税」の申告は1円でも利益があればしておきましょう

これを忘れると、住民税の決定通知書が本業の会社に届いた際、副業がバレる可能性が発生します。

副業20万円以下でも、市区町村役場で住民税の申告だけは済ませましょう。

2. 【権利】確定申告を「したほうが得する(還付される)」人

税金を払いすぎている可能性があるため、申告すれば手元にお金が戻ってくるケースです,。

  • 医療費が多くかかった人(医療費控除): 年間10万円(または総所得の5%)を超えた場合。ドラッグストアで買った風邪薬も対象です。
  • ふるさと納税を6自治体以上にした人: 「ワンストップ特例」が使えないため確定申告が必要です。
  • 住宅ローンを組んだ1年目の人(住宅ローン控除): 2年目以降は年末調整でOKですが、初年度だけは絶対に確定申告が必要です。
  • 年の途中で退職し、再就職していない人: 年末調整を受けていないため、払いすぎた源泉所得税を取り戻せます。

個人事業主:2025年以降の基礎控除変更に伴う申告への影響

個人事業主(フリーランス)の方は、2025年分(2026年2月〜3月申告)から計算の前提が大きく変わります。 特に注意すべきは、全員に関係する「基礎控除」の記入ミスです。

変更点:基礎控除「48万円」の常識を捨てる

これまでは、申告書に機械的に「48万円」と記入していましたが、これからは「自分の所得金額」に応じて控除額が変わります。

紙面で申告を予定している場合は注意が必要です

  • 合計所得 132万円以下: 基礎控除 95万円(+47万円の大減税)
  • 合計所得 132万円超〜336万円以下: 基礎控除 88万円
  • 合計所得 2,350万円超〜: 48万円、32万円、16万円と減り、2,500万円超でゼロに。

手順

1. 会計ソフトのアップデートを確認する: クラウド会計ソフト(freeeなど)を使っている場合、2025年版の税制改正に対応しているか確認してください。古い計算式のままだと、控除額を過少申告して損をする可能性があります。

2. e-Tax(電子申告)の準備をする: 青色申告特別控除(最大65万円)を満額受けるには、e-Taxでの送信が必須条件です。基礎控除の拡大と合わせれば、大きな節税効果になります。

実務での注意点

個人事業主の方で「iDeCo・小規模企業共済等掛金控除」や「国民年金」を払っている場合、これらは「所得控除」として収入から差し引けます。

2025年からは基礎控除が大幅に増えるため、これらの控除と合わせると「課税所得がゼロ」になるケースが増えると予想されます。

課税所得がゼロなら所得税はかかりませんが、「赤字の繰越(青色申告)」や「非課税証明書の取得」のために、所得税額が0円でも確定申告をしておくことを強くお勧めします。

納付期限と納付方法

確定申告書を作って終わりではありません。「納税」までがゴールです。

確定申告・納付期限: 原則として 翌年2月16日 〜 3月15日,。 (※土日の場合は翌月曜日に後ろ倒しになります)

おすすめの納付方法(キャッシュレス)

税務署に行って現金で払うのは手間がかかります。以下の方法がスマートです。

  1. 振替納税(口座引き落とし): 事前に届出を出しておけば、指定口座から自動で引き落とされます。
  2. スマホアプリ納付(PayPayなど): 30万円以下なら、請求書のQRコードを読み取るだけで支払えます。
  3. クレジットカード納付: ポイントが貯まりますが、決済手数料(約0.8%〜)がかかる点に注意。

資金繰りが厳しい個人事業主の方には、「振替納税」4月中旬〜下旬になります。手続きひとつで支払いを約1ヶ月遅らせることができるため、手元の現金を温存したい場合に非常に有効です。

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税務に関する実務の勉強記録を残しています。法人税・所得税・消費税・相続税を中心に、条文・通達や実務処理の要点を整理しています。 ※このサイトに記載している内容は、一般的な情報提供であり、個別具体的な事例に関する相談は専門家へご相談ください。
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