手取りと働き方はどう変わる?
長年続いてきた「103万円の壁」は、この2年で劇的な変化を遂げようとしています。
1. 【現在進行中】2025年(令和7年)の「160万円の壁」
まず整理すべきは、今年(2025年)分からすでに適用されている変更です。
2024年までは所得税がかからないラインは103万円でしたが、2025年分からは**「160万円」**に引き上げられています。
- 基礎控除の拡大: 48万円 → 95万円(年収200万円以下の層)
- 給与所得控除の拡大: 55万円 → 65万円
- 合計: 95万円 + 65万円 = 160万円
これにより、学生アルバイトやパートタイムの方々の「働き控え」が一部解消され、すでに今年の手取り額は増加傾向にあります。
2. 【2026年決定】ついに実現する「178万円の壁」
さらに数日前(12月18日)、2026年1月からのさらなる引き上げが正式に決定しました。
高市早苗総裁は12月18日、国会内で国民民主党の玉木雄一郎代表と会談し、いわゆる「年収の壁」について178万円まで引き上げること等を盛り込んだ、令和8年度税制改正について合意しました。
自民党HPより
- 新基準: 所得税の非課税ラインが178万円へ
- 対象者: 年収665万円以下の納税者(全納税者の約8割)
- 背景: 1995年から現在までの最低賃金の伸び率(約1.73倍)を反映し、インフレ調整が行われました。
これにより、年収500万円程度の世帯でも、年間で数万円から十数万円規模の「手取り増」が見込まれる、非常に大きな減税となります。
3. 子育て・現役世代に嬉しい「維持」と「新設」
今回の改正では、家計を支えるプラスのニュースが他にもあります。
- 高校生(16〜18歳)扶養控除の維持: 当初は縮小案が出ていましたが、少子化対策を優先し、現行の控除額が維持されることになりました。
- 大学生年代への配慮: 「特定親族特別控除」が新設。大学生などの子どもを持つ世帯に対し、年収上限が緩和され、教育費負担が重い世代の税負担が軽減されます。
4. 注意点:まだ残る「社会保険の壁」
所得税の壁が178万円まで上がっても、注意すべきは「社会保険料」です。
- 106万円の壁(社会保険加入): 2026年10月に撤廃される予定です。
- 130万円の壁(扶養外れ): 2026年4月から「実態判定」が厳格化されます。
「税金はかからないけれど、社会保険料の支払いで手取りが減る」という現象(働き損)は依然として残るため、
月収8.8万円を超える働き方をする場合は、シミュレーションが不可欠です。
まとめ:2026年、日本人の「手取り」はこう変わる
- 2025年(今)は、すでに160万円まで非課税枠が広がっている。
- 2026年1月からは、それが178万円まで拡大し、中堅所得層も減税対象になる。
- 社会保険の壁は別途動いているため、働き方の調整は引き続き重要。
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